■2016年11月30日(水)、ファイナルQT(三重県/白山ヴィレッジゴルフコース)
今回は、国内男子ツアー・ファイナルクォリファイの会場から、アイアンシャフトについてご報告いたします。
今シーズン新たな動きとして、アイアン(スチール)のフローシャフトを使用するプロが出始めたことが挙げられます。現在、男子ツアーでは、『ダイナミックゴールド AMT』(3gピッチ)と、『モーダスプロトタイプ』(3gピッチと2gピッチの2種類)がみられます。
最新のフローシャフトは重量フローのみならず、バランスポイントもフローさせているため、従来のシャフト同様、同一バランスで組み上げるように設定されています。
アイアンもヘッドサイズの大型化に伴い、重心距離が長くなり、さらに、キャビティアイアンなどは重心が深くなって、MOI(慣性モーメント)の値が大きくなっていることも、フローシャフトの投入と無関係ではないと思われます。
フローシャフトの利点は、重量・バランスポイントのみならず、MOIの調整によるミドル・ロングアイアンの打ちやすさにあるのでは? と私は勝手に想像しています。
早くからこのシャフトを使用し始めたアダム・スコットや、国内では谷原秀人、松村道央が実績を残していますが、一方で「ショートはいいけど5番からロングアイアンが少し動きすぎるかな?」という声もありました。
そこで、トゥルーテンパーの協力のもと、MOI計を使用し『DG X100』で3番アイアンの通常MOI値である2708を、6番アイアン並みの2682に落とすセッティングを実施。
試打した結果では、やはり3番アイアンがロングアイアンとは思えない軽やかな振り抜き感となり(実際のMOI数値は6番アイアン並み)、一般的にはこの方がメリットがあると感じています。
MOI計がない場合も、概略的にはバランス計で合わせることが可能です。例えば、D1やD2合わせのクラブで振りやすい番手を基準として8番が振りやすいと感じた場合、そのクラブのバランスを中心に、下の番手(8番~ PW)を同一バランス、または、少し重めに設定。上の番手(3 ~ 7番)は、0.1ポイントずつ軽く設定する方法もあります。
もちろん、プレーヤーによってフローバランスは変わってくると思われます。
海外選手も早くからフローシャフトを使用し始めていますし、MOIセッティングによる実績も多く残されています。我々も早くこれらの情報に即して対応すべきだと考えています。
【この記事は『月刊ゴルフ用品界 2017年1月号』に掲載したものを転載しております】
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