狭山ゴルフ・クラブ_入会者負担金減額後の相場動向

埼玉県の狭山ゴルフ・クラブでは2015年12月13日の理事会に於いて、新規入会者による入会手続き上、クラブへ支払わなければならない会員権の名義書換料と入会保証金、それぞれの金額が改定され、翌年2月の新規入会者から適応される事になった。

この結果、正会員権は総額約200万円、平日会員権が総額約130万円減額される事になり、それぞれの支払い総額は正会員権が約400万円、平日会員権が約270万円と成った。

改定から約5ヶ月が経過した今日、売買情報の経過観察がし易い状況と成った事、また日本社会の経済動向など外部要因から受ける影響を、少なく見積もれる環境下である事から、それが会員権の相場動向にどの様な影響をもたらしたのか、見て行く上で最適な時期であると判断した。

狭山ゴルフ・クラブ会員種別は、正会員権と平日会員権の2種類があるものの、売買情報の豊富さから正会員権に絞って、その動向把握に努める事にした。観察期間としては2015年の1年間、そして改定をはさんで2016年4月末までとした。その変動をまとめたのが、下記A~Cまでの内容である。

 

A2015年1月~7月まで、買い件数は7ヶ月間を通じて少ないものの、それでも100万円以上の注文が入っており、値崩れを防いでいた。

しかしながら8月からは、買い希望の中でも最高値の注文が100万円を切る様に成り、更に売り希望案件の多さから、買い手が売り手の希望金額に合わせて購入する意思の無い事が、如実に反映された相場と成っていた。                                              まさに買い手市場であり、ジリ貧と言う表現が、相応しい状態だったのである。

Bこの状況が一変したのは、何と言っても2015年12月13日の理事会以降である。

12月中旬までは多くの売り情報を確認出来たものの、それらの大半は中旬以降増殖した買い注文により消化されたと思われ、2016年1月初旬では売り買いの件数が逆転してしまっていた。

1月より4月末までの間、単月で見るならば売りは数件のみで、買いは時に10数件を数え、旺盛な需要を見て取る事が出来た。

改定が需要に与えた影響であると、端的に読み取れる現象が続いたのである。

C改定が買い需要を呼び込んだと言う事は、上記A~Bの流れで理解出来るものの、それでは相場的にはどの様な変化がもたらされたのであろうか。

名義書換料及び入会保証金の合計金額が約200万円減額に成った事により、その減額分が即会員権相場上昇としてはね返ったかと言えば、必ずしもそうとは言えなかった。

売り買いの中値で見れば、昨年1年間に於けるボトムとも言えた8月時に約100万円、2016年3月の活況時に約200万円と言う内容を見て取れる。

 

残念ながら上記数字は、実際の取引実績では無い点に、留意して頂きたいと思うが、入会者負担金減額効果を考察する上では、充分に資料と成りえる事をご理解頂きたい。

単純に中値のみで比較するならば、約100万円相場がはね上がった事に成る。

この事から入会者によるクラブへ支払う負担金の減額措置は、会員権相場に大きな影響を与え、そして相場上昇への役割を果たした、と結論付けられる。

狭山ゴルフ・クラブの会員権相場が上昇へ転じた要因は何かと問うた場合、入会者負担金減額措置のみで説明しきれない事は、良く理解出来る。そしてそれは入会者に対する審査基準の変化などにも及ぶであろう事は当然なのだが、その問題は本稿の課題ではない為に、その検証は後日としたい。

いずれにしてもこの度の改定が、広く入会ニーズを掘り起こし、会員権相場を上昇へ転じさせた点は、否めない事実である。又忘れてならないのは、この事により狭山ゴルフ・クラブの会員権売買が、大変に活性化した点である。

これらの果実は、当初クラブ理事会が意図した点で有ったか否かは別にして、市場からは高く評価されたのである。

 

2016年5月10日東京神田神保町にて

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大学卒業後30歳を契機にゴルフ業界へ身を置く様になり、ゴルフ会員権業者へ勤務の後2003年8月に独立。現在、タクト株式会社代表取締役。
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「 ゴルフ事件 過去帖 」「 ゴルフ 偉人、名人、達人 列伝 」をWEBにて公開中。
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