9月27日、日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)主催第7回タウンミーティングが東京・新宿で開催された。
今回のタウンミーティングは、ジャパンゴルフフェア2019(3月、パシフィコ横浜)がキッカケとなっている。ここで好評を博した体育会系ゴルフ部員ではない、一般の大学生のゴルフに対する生の声を聞くというイベントを起点に、7月には大学ゴルフ授業研究会とのコラボで、ドレスコードに縛られないコースラウンドを学生達と共に体験するという流れとなった。
今回のタウンミーティングも、その延長線上にある。第1部は武蔵野美術大学准教授で大学ゴルフ授業研究会代表理事の北徹朗氏による基調講演。「ゴルフマナーと大学授業」をテーマに、これまでの大学における正課授業の現状と課題、ならびに正課教育で学んだ知識や技術を学生が実際のコースで実践する「Gちゃれ」の紹介と続いた。
2015年に武蔵野美術大学から始まった試みは今や全国の大学が導入しこれまでに80回以上、1,200名もの学生がコースに親しみ、参加学生はいずれもその楽しさを享受している。とはいえ様々なハードルによりゴルフを継続する学生は極めて少ないという。そのため今後は『ゴルフそのものの楽しさを伝える環境整備』が不可欠と訴えた。
意外と知られていないことだが、大学の必修体育実技教科の中でゴルフは一番人気。日本全国では1年に581(2016)もの講座が全国の大学で実施されていて、ゴルフの楽しさを感じている学生達が多くいるはず。
卒業後にゴルフを続けない阻害要因は何か。それを探ることが、このタウンミーティングに課せられた一番の使命。
JGJAでは今年4月から北准教授の招きで、JGJAの会員を入れ替わりで週一回、『ゴルフビジネス論』に講師として派遣している。基調講演に続き、武蔵野美術大学の教壇に立ったJGJA永井延宏副会長・向井康子副会長ならびに筆者が、7月に実施した学生さんとの服装規定に縛られないラウンドと講義の模様を紹介した。
プロゴルファーである永井副会長は学生とのラウンドを振り返り、全くの初心者も含む参加学生8名は皆一様に楽しむことができたことを明かした。ゴルフ未経験者にとってゴルフに対するハードルは、ドレスコードやコースへのアクセス、更にはクラブの調達であると考えられ、当日実施した18Hのストロークプレイにこだわらない9Hのスクランブルプレイなどは、初心者にも十分ゴルフの楽しさを伝えることができる方法の一つであろうと強調した。
続いて向井副会長は『ドレスコード』をテーマとした大学での講義の中から、その歴史やアパレル各社のブランド展開を説明。更には若い人に限らず最近はメルカリや定額のサブスク(会員制定額サービス)が年代を問わずに利用されていることなどが紹介された。
また講義の中でのワークショップで、学生に自分たちが着たいゴルフウェアをデザインしてもらったところ、女性ゴルファーでは常識的な短いスカートやぴったりしたウェアには違和感があるなど、意外なアイディアが出されたという。
筆者はそのキャリアから『ゴルフ練習場をデザインする』をテーマに実施した授業内容を紹介。施設数がピーク時から半減して『絶滅危惧種』(筆者)である練習場業界を概説したのちに、『こんなウチッパあったらいいな』という題で学生さん達に練習場をデザインしてもらったところ、これが素晴らしかった。
さすが美大生。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を駆使したアイディアや、プロジェクション・マッピングを利用してゲーム性を高めたり、インスタ映えを狙ったものから、若者が多く集う音楽フェスやバッティングセンターに併設するなど現実的なものも提起された。
これだけ趣味が多様化している中で大学生を如何にゴルフに誘引するか、そのポータルとしては練習場の使命は非常に重いはず。それにしては練習場連盟を始め動きが鈍すぎるのではないだろうか。
第2部は武蔵野美術大学と亜細亜大学の学生が3名登壇し、宇田川健助理事の司会のもと様々なアプローチにより大学生のゴルフに対する考えを引き出していった。ゴルフを始める契機はいずれも家族の誘いであり、ゴルフは社会人としてのマナー・ルールを学べるツールであると理解されていること、また「Gちゃれ」や7月のJGJAイベントでコースを回った経験などが披露された。
この後の聴衆との質疑応答も含めて結論として導き出されるのは、(1) 学生にとってのゴルフの敷居の高さとは、プレイ代やギア購入などのコストの高さであり、また(2) ボーリングやカラオケなどと異なり初心者でも気軽に誘ったり、或いは誘われても行こういという気がしない難しいイメージがあること。
また「やってみたら非常に楽しかった」ことも殆どの学生が感じること。キッカケ作りが業界全体の課題であることが改めて浮き彫りとなった。
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