JGJA主催「第8回タウンミーティング」

日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)は10月23日、「第8回タウンミーティング ゴルフ×健康で練習場を元気にする 大討論会」を東京・秋葉原で開催した。

ゴルフが健康増進に寄与しているとされ、練習場でも健康増進に関わるプログラムを導入しているところも多くなってきた。今回はゴルフと健康増進のかかわりや活動などについて、パネリストが解説するとともに、来場者(WEB参加含む)と以下のテーマについて質疑応答を行った。

テーマ1 高齢者ゴルファーのゴルフ寿命延伸

テーマ2 ジュニアゴルファーの健全な育成

テーマ3 ウェルビーイングな社会実現に向けて

登壇したパネリストは日本ゴルフ協会ゴルフと健康部会部会長の中島和也氏、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)会長の横山雅也氏、湘南衣笠ゴルフ代表取締役の岩崎聖秀氏、ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジ代表取締役の荒木知太朗氏の4人。討論会の司会はJGJA会員の小森剛氏が務めた。

 

中島氏は、プロゴルファーとしても活躍され、現在はJGAでゴルフ振興推進本部ゴルフと健康部会部会長を務め、ゴルフを通じて国民の健康維持増進を目的に活動している。

横山氏は、千歳ゴルフ練習場他3施設を経営する傍ら、全日本ゴルフ練習場連盟会長と関東ゴルフ練習場連盟理事長を兼任し、練習場の発展に力を入れている。

岩崎氏は、自身が経営する練習場で、90歳までゴルフを楽しむことをコンセプトにした「プロジェクト90」を立ち上げて高齢者のゴルフ寿命延伸に取り組んでいる。

荒木氏は、練習場にヨガ教室を取り入れたり、ジュニアスクール生約100人を対象に運動と食育のニュースレターを配信するなど、ゴルフを通して子供の健全な発育に取り組んでいる。

 テーマ1「高齢者ゴルファーのゴルフ寿命延伸」

まず岩崎氏が「90歳までゴルフを楽しもう!」をテーマとした「プロジェクト90」に取り組みを紹介。練習場に看護師を招き、血圧測定や健康相談などを実施する「街の保健室」や、ゴルフヨガ教室、交通安全教室などゴルフを続けるために必要な健康情報をイベント形式で届ける」ことで、ゴルフ寿命の延伸に取り組んでいる。

荒木氏は、インストラクターが生徒を教える際に「もう少し体ができていたら」とつぶやいていたことから、「元気」「グッドコンディション」「練習前より帰る時の方はハツラツとしている」という時間と空間を提供するためにヨガ教室をスタート。今夏からは運動機能・認知機能改善を目的とした無料セミナーを実施している。ヨガ教室は週5回開催しており「ケガをしないことが大事。事業として成り立ってはいませんが、長くゴルフをしてもらうために何ができるかと考えた」と、高齢ゴルファーを支えている。

中島氏が9月に行われたJGA主催の日本シニアオープンの大会会場で「ゴルフで健康寿命を延ばそう!in能登CC」での取り組みを紹介。また、2016年にウィズ・エイジング・ゴルフ(WAG)協議会が国立長寿医療研究センター、東京大、杏林大と共同で実施した、認知機能低下予防におけるゴルフの効果検証の研究を基にWAGシニアスクールを開始し、JGAがそれを引き継いだ「JGA WAGスクール」としての活動を紹介した。

また、司会の小森氏からは神奈川県など自治体の健康増進に対する取り組みなども紹介された。

 テーマ2「ジュニアゴルファーの健全な育成」

横山氏がJGRAのジュニア育成の取り組み「JGRA ジュニアゴルフ検定」について説明した。技術の向上、規則の習得に加え、ゴルフを通じて社会性、自己啓発、自己管理能力を養い「ライフスキル(生きる力)」を身に着けることを目指す検定。12級から1級まであり、検定級に応じて練習場、ゴルフ場で受験して、級の獲得を目指す中で、上記のスキルを身につけていく。「ゴルフがうまければいいというわけではなく、エチケットやマナーも含めたグッドゴルファーを育てたい」と横山氏。ゴルフを初めて「プレーができるところまでやっていこう」という取り組みになる。

岩崎氏は、湘南衣笠ゴルフ所属の岩室智章プロらが設立した「横須賀ジュニアゴルフ推進協会」の活動を紹介。日本プロゴルフ協会(PGA)が行っているPGAジュニアリーグへの参加などを通じ、団体行動で仲間意識を作るとともに「親もゴルフを始めるようになって親子でゴルフをするようになった」と、効果を挙げた。

荒木氏はガーデン藤ヶ谷のジュニアスクールで「運動と食育のニュースレターの発行を紹介。「競技に出る子供も増えてきて、ケガをしないための食育の大切さを伝えるヒントに」と、いうのが狙いだったという。

 テーマ3「ウェルビーイングな社会実現に向けて」

司会の小森氏がウェルビーイングについて、体の健康のヘルス、体と精神の健康であるウェルネスから、体、精神に加えて社会的に健康であることを表すのが「ウェルビーイング」と説明。

岩崎氏が横須賀市での取り組みについて話した。20年ほど前まで同市では5つの練習場(現在4つ)がしのぎを削っていたが、世代交代などもあって「分母を増やしてから競争しよう」ということで連携し、教育委員会の協力を仰いで市内の小学生約2万人に4練習場で使える無料練習券を配布するなどして底辺拡大をしている。回収率は1%ほどだったがそれでも200人、多くが初心者だったという。

司会の小森氏氏からは厚生労働省が認定する「健康増進施設」に、ゴルフ練習場がまだゼロであることを指摘。「認定されることで差別化になる」と話した。横山氏は、健康ゴルフのキャンペーンを業界挙げて行うことが重要と提案。中島氏は地域の災害拠点となるなど地域への貢献や、自治体との連携で健康に寄与する取り組みの重要性を強調した。

各テーマごとに質疑応答もはさみながら1時間半の予定をオーバー。パネリトと参加者、パネリスト同士など活発な意見交換が行われた。

最後に弊協会小川朗会長が「ありがとうございました。キーワードは地域密着という事なのでしょう。練習場が気軽の集まれる場所になれば。行政とも組みながら何かをやっていく。それを我々が報じていけば、いい方向に行く可能性を感じたタウンミーティングでした」と、パネリストや参加者に感謝を述べた。

◆タウンミーティング動画をご覧ください

なお、タウンミーティングの模様は、JGJAのHPに順次掲載していきます。ほぼノーカットの動画ですので、ご覧ください。各動画の終了と次の動画の開始が多少連続していませんが、作業上の問題としてご容赦ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

1959年北海道札幌市生まれ。札幌南高―北海道大学工学部卒。82年日刊スポーツ新聞社入社。同年から計7シーズン、ゴルフを取材した。プロ野球巨人、冬季・夏季五輪、大相撲なども担当。2012年、日刊スポーツ新聞社を退職、フリーに。
著書に「ゴルフが消える日」(中公新書ラクレ)、「ビジネス教養としてのゴルフ」(共同執筆、KADOKAWA)
日本プロゴルフ殿堂、国際ジュニアゴルフ育成協会のオフィシャルライターでHPなどに執筆。東洋経済オンラインでコラム「ゴルフとおカネの切っても切れない関係」を担当。趣味で「行ってみました世界遺産」(https://世界遺産行こう.com/ )を公開中。
【東洋経済ONLINEより】
サラ金大会の再来があっていいのか ~ 2016プロゴルフ、男女で明暗が分かれた理由~2015/12/17
石川遼が吐露した「ギャラリー激減」の危機感~「見られない」のはプロゴルフ選手の恥だ~2015/12/13
ゴルフの凋落を食い止めるカギは教育にあり~中高大学生を取り込めるか~2015/11/29