ゴルフ外交はワーキングゴルフの始まり

先日、ゴルフ好きで知られるトランプ米大統領が来日をした際に、連日繰り返しマスコミ各社が大きく報道した内容が安倍晋三首相との「ゴルフ外交」だ。
お昼にゴルフ場で集合。ドレスコードはスーツにタイ着用。その後、軽食を済ませゴルフウェアに着替えゴルフプレーしながらの外交がスタートした。
舞台は2020年東京オリンピックでのゴルフ競技の開催コースである霞ケ関カンツリー倶楽部(東コース)であった。

ワーキングランチ

最近ワーキングランチということばをよく耳にするが、この言葉の意味は「主に政治家・企業重役などが仕事の話をしながら取る昼食」のことを指している。

この日の昼食は、安倍首相がホスト役という事もありトランプ大統領の好みを前もってリサーチして、米国産牛の特製ハンバーガーで「お・も・て・な・し」をしたことも大きく報道された。
気の利いた細やかな気遣いが印象に残った。

要人であろうが金持ちであろうが企業の重役であろうが、人の心を掴むには必ずしも値段が高い高級料理ではないと思っている。

以前にゴルフ場に従事していた際に、朝食の利用率を上げる為に考えたのが「タマゴかけご飯」であった。高級なゴルフ場だから「タマゴかけご飯」をそもそもメニューに入れていなかったとのことであったが、これはお客様のニーズを無視した押しつけではないかと感じたからである。

そのかわり、卵は新鮮な高級卵を常に用意し、ご飯は魚沼産「こしひかり」、醤油はタマゴかけご飯に合う九州のたまり醤油、みそ汁はアオサという具合に食材はこだわったもので勝負した。

これには富裕層の心と胃袋をつかみ見事に的中して利用人数は増えたのである。

そんな経験を積んできたからこそ、ハンバーガーを昼食に用意した演出は特に印象深く残ったのである。しかも米国産のビーフ100%というのもパーフェクトであった。

相手に喜んでもらえるにはどうしたらよいのか?を考えれば答えは自ずとでてくる。この思いやりこそが相手をお迎えする姿勢であり、見事に安倍晋三首相はトランプ米大統領の気持ちをつかんだと言っていいのではないかと思う。

ワーキングランチからワーキングゴルフへ

この日のゴルフはワーキングゴルフといっても良い。
つまり「主に政治家・企業重役などが仕事の話をしながら取る昼食」がワーキングランチであるならば、この日のゴルフは正に「ワーキングゴルフ」ではないか。

プレースタイルは9ホールでスコア―をつけない。しかもワングリップOKではなく、ファーストパットをはずした時点で次のパットはOKという何ともゆるいゴルフであるが、親善目的で外交問題を織り交ぜながらテンポ良く軽快にラウンドしている様子は実に素晴らしいゴルフであると感じた。

ラウンドを終えた安倍晋三首相は「本当に楽しい一時を過ごすことができた。いろんな難しい話題も織り交ぜながら突っ込んだ話ができた」とコメントをしたのも印象深い。

相手との距離が短くなるのは、テーブルを挟んで話をしないことであると思っている。
その点では、ゴルフは挟むテーブルがそもそもない。
むしろ相手を褒めるチャンスが何度となくあるのがゴルフである。

部屋の中でネクタイをしてテーブルを挟み、数か月ぶりに合う相手を褒める機会がどれだけあるであろう。仮にあったとしてもお世辞にしか聞こえはしないと思う。

ゴルフの場合は本当に素晴らしいプレーを、その通りに褒める事ができ、月日がたってもそのことの話題は繰り返しされることも度々ある。
そんなシチュエーションができるゴルフであるからこそ、ワーキングゴルフというスタイルが、これからのゴルフスタイルの中に定着する予感がするのである。

外交に限らずビジネスに応用できるのでは

トランプ米大統領は「ゴルフがなければ私のビジネスは成功しなかった」が口癖と言われていることは有名な話である。
つまりワーキングゴルフを実践して今の富と名誉を築いたといっても良いのではないか。

ワーキングゴルフをビジネスで取り入れることで、多くの人脈を築きあげたと言っても言い過ぎではないと思う。

接待ゴルフからワーキングゴルフへ

バブル時代に過剰な接待として、ゴルフが利用されたことは団塊の世代以上の方には忘れられない思い出であろう。

ハイヤーでゴルフを招待し、しかもお土産付き、今から思えば異常なゴルフであった。今ではそのような光景こそは目にしないが、良い部分もたくさんあったと思っている。
それはやはり人間関係が急激に近くなれる点にあるということだ。

ゴルフは良く人柄がプレーにでるといわれる。一緒にゴルフをすることで本音がでるところを垣間見ることができるからである。

バブル経済が崩壊後に、接待ゴルフが自粛され平日のゴルフ禁止、交際費の削減などの要因が重なり現在ではそのような光景をあまり見かけることは無くなってきている。

しかし取引先との関係性を短期間に強いものにするには、ゴルフはかかせないものであると今回のゴルフ外交から改めて強く感じている。

バブル期のスタイルを復活というのは、今の時代には相応しくない。

むしろ、
① プレー代金はそれぞれで負担する。…必要経費としての正当性確保のため。
② スコア―は付けず9ホールのプレーを楽しむ。…それぞれの時間を尊重するため。
③ 仕事オンリーの話はNG。…適度に会話に織り込む程度にして雰囲気を大切にするため。
という暗黙のルールをおたがいに理解して楽しむことが今流ではないかと思う。

翌日の記者会見で「本音の話ができた」という言葉が聞けたということは、今回のゴルフをきっかけにワーキングゴルフというスタイルが増えていくのではないだろうか。

ビジネスツールとしてのゴルフへの位置づけが世間に理解され、より多くのみなさんにゴルフを通じてWin・Winの結果をもたすことを願っている。

ワーキングゴルフというスタイルと、その取り組みがなされることによりゴルフが色々な形で親しまれることを望んでいる。

ゴルフをより身近なものに。

No Golf No Life

(文:株式会社TPC 代表取締役社長 飯島敏郎 JGJA会員)

4 件のコメント

    • 村田智美さま
      興味をもっていただきまして嬉しいです。
      拡散していただいて、是非ワーキングゴルフを
      広めていただければと・・・(ペコリ)

  • ありがたく読ませていただきました。
    偉そうに言えた立場ではありませんが、飯島さんには経歴、考え方、お人柄、すべてリスペクトしてしまいます。
    今回の日米ゴルフ外交も賛否両論あるでしょうし、時が経過すれば状況や評価もどうなっていくのかわかりませんがゴルフを愛する人の気持ちは変わることはないでしょうし、そんな中、飯島さんのようなゴルフの世界をグローバル理解されてる方の著作はとても楽しめると同時に勉強になります。
    これからも楽しい著作やコメント是非お願いします。

    • Morishita さま
      コメント有難うございます。
      ゴルフは言葉の壁をボディーランゲージで超えられるのも魅力ですね。
      その意味では世界中の方々と繋がりを持つために最適なエンターテイメントとして捉えて良いかも知れませんね。
      頂戴しましたコメントを励みに今後ともJGJAのみなさんと一緒に盛り上げていきたいと考えております。
      引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    飯島敏郎

    1963年3月30日 東京都生まれ東京居住。
    1983年4月STT開発㈱に入社しゴルフ事業に専従。
    ゴルフ場のコースメンテナスをはじめ現場のスキルを身に付け本社ヘッドクォーターにて経理部・財務部・M&A・IT・会員権募集営業・用地買収・開発許認可・会員管理・集客営業等々のあらゆる部署の経験を積み1999年同社取締役(CFO)に就任。
    2004年4月にはPGMと統合しアカウンティングの責任者(コントローラー就任)。
    ゴルフ場の再編時代ではスポンサー選定手続き等の実務に精通。
    2005年3月より㈱森インベストに入社しゴルフ事業部門を立ち上げ統括責任者として4ゴルフ場を統括し2010年6月に同社取締役ゴルフ事業部本部長に就任。
    2010年4月より㈱イーグルポイントゴルフクラブの代表取締役社長に就任し5年間在籍。
    2014年4月より独立。現在、㈱TPC代表取締役社長/CEOとしてゴルフ場の経営コンサルティング&ゴルフ場のプロデュース業を展開。
    主な活動・著書
    ゴルフ事業一筋のタタキあげスキルを強みとしてゴルフ場の経営改善や空間をプロデュース。時代が求めている価値観をもとに「1人でも多くの方のライフスタイルの中にゴルフがある喜びを!」もたらす事をミッションとしている。
    クライアント先ゴルフ場のイノベーションを実例として情報発信すると共にゴルフ業界の活性化と発展に貢献すべく日々活動中。