体が大きい選手でないと世界に通用しない時代

菅野徳雄の「日本のゴルフを斬る」
(日刊ゲンダイ 平成28年2月24日
体が大きい選手でないと世界に通用しない時代

リオ五輪で日本のゴルフは男女共に金メダルの可能性が出てきた。今季、男子は松山秀樹がフェニックスオープンで勝ち、米ツアーで2勝目を挙げて世界ランク11位。女子は野村敏京がISPSハンダ女子豪州オープン最終日、トップタイでスタートし、世界ランク1位のリディア・コーに3打差で米女子ツアー初優勝。それによって野村の世界ランクは67位から48位まで急上昇し、40位の宮里美香と41位の大山志保に迫っている。
野村は2011年5月、中京テレビ・ブリヂストンレディースでプロになって日本ツアー初出場で初優勝したとき、リオ五輪について聞かれ、「絶対に金メダルを取りたい」と言っている。リオ五輪の代表が決まる7月11日まで米女子ツアーは17試合ある。世界ランキングの獲得ポント数は男女共に日本より米ツアーのほうがははるかに高いので、このままの勢いで好調をキープすれば野村が日本代表になる確率は非常に高いといえる。

身長166センチと体にも恵まれている野村は、今シーズンは自分に合ったドライバーにめぐり合えたこともあって飛距離が伸びて270ヤードぐらい飛んでいるという。現在、アメリカンで戦っている日本の女子はみんな体が小さいので、ドライバーの飛距離不足に苦労している。250ヤードぐらいのドライバーでは相当ショットが正確で、ショートゲームに優れていてもトップ10に入るのは難しくなっている。
「アメリカへ行っても女子は男子ほど飛距離の差はないので日本選手も十分やっていける」

昔はよくそういわれていた。しかし、今は世界中にゴルフが広まったことによっていろんな国からパワーのある選手が米ツアーに集まっている。

小柄な日本の女子プロはドライバーを目いっぱい振って、セカンドもかなり長いクラブを使わなければならないので、正確さとショートゲームだけでは大きなアンダーパーはなかなか出ない。今季、野村はバーディー数でツアーランク1位になっている。

女子プロも野村ぐらいの飛距離とショットの正確さ、そしてパットのうまさを持っていないと世界では勝てない時代である。

男子の場合は外国選手と日本人のパワーの差は女子よりもさらに大きくなっている。チタンヘッドの長尺ドライバーはもともと体力的に劣る日本人のために開発されたクラブである。それによって日本のプロも飛距離は相当伸びているけど、長尺ドライバーは体の大きい外国人のほうがはるかに有利だった。

そういう意味からいっても、松山と野村がリオ五輪の代表になればメダル獲得の可能性はかなり現実味を帯びてくる。もし、リオでメダルが取れたら、ゴルフの人気がどれだけ高まるか知れない。 そして4年後の東京五輪で金メダルを取るためには男女共に大型選手の育成が急務である。青木功がJGTOの会長候補に挙がっているので、倉本昌弘五輪強化委員長とタッグを組んで今すぐにでも取り掛かってほしい。

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菅野徳雄

1938年生まれ。岩手県陸前高田市出身。立教大卒。元日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)。分かりやすいゴルフ技術論と辛口のゴルフ評論で知られる。「日本のゴルフを斬る」「シンプル思考で上手くなる」(共に日刊ゲンダイ)「菅野徳雄の言いたい放題」(月刊ゴルフマネージメント)を連載中。「トッププロのここを学べ」「ゴルフスウィングの決め手」「頭のいい男はゴルフが上手い」「即習ゴルフ上達塾」「誰も教えなかったゴルフ独習術」などの著書がある。