私の提言「日本のゴルフ界を発展させる具体論」「初心者ゴルファーにマナーとルールの伝達を」 ~田口 秀樹~

第1回JGJA論文大賞決定
大賞受賞作は井関美和氏の
「ゴルフ・全国均一カジュアル化計画」に決定
私の提言「日本のゴルフ界を発展させる具体論」というテーマで、広く一般から論文を募集した第1回JGJA論文大賞の入賞者が決定しました。すべての作品を、応募者の名前等を完全に伏せた状態で審査。当協会の理事全員が読み、投票の結果、大賞1作品、準大賞作品が決まりました。大賞受賞者はゴルフライターの初見進氏を僅差で押さえ、主婦の井関美和さんが受賞しました。当号では、この受賞2作品の他、興味深い主張が展開されていた作品をジャンルのバランスを考慮した上で、掲載いたしました。


 

「初心者ゴルファーにマナーとルールの伝達を」田口 秀樹

夕焼けがラウンドの終わりを告げていた。昨年の夏、ニュージーランドにあるゴルフコースに私はいた。まだラウンドの余韻に浸りながら佇む私の傍を、今日同伴したコースのメンバーでもある初老の白人男性と20代の韓国から来たビジターの青年が微笑んで通り過ぎる。
「Good Golf! See you soon!」(良いゴルフだったね。また会おう)
偶然組み合わせになった3人でプレー中、初老のゴルファーが若者に度々アドバイスを送っていた。
これから打つゴルファーのラインには立たない。バンカーは後続組のためにきちんと直す。同伴者のパットラインを妨げない。ピッチマークやディボットは必ず直す。カップの渕や周辺は踏まない。同伴者が打つ時には動いたり、音を立てない……。
決して威圧的な話ぶりではなく、若者のロングドライブや華麗なバーディパットには賞賛をおくり、喜んでいた。若者のプレーを尊重しながら、適宜忠告を送る老ゴルファーの姿は時に微笑ましく、時に威厳も感じた。
最初、けむたそうに肯いていた若者も、後半には、こうしたラウンドのリズムを楽しく感じられるようになったのか、マナーも格段によくなり、俄かに緊張感が出てきて、面白いゴルフが展開された。その結果、3人とも後半は打数が5打から8打も少なくなった。
イギリスの影響により日本の明治時代にオタゴゴルフクラブからゴルフが発祥したこの国では、どんなコースでもマネージャー、クラブキャプテン、コーススタッフからプレイヤーにマナーの説明と実践が申し渡される。スコアカードには記されないが、マナーこそ大いなる価値だと……。
日本では最近若年層を中心にゴルフが盛り上がっているが、そのマナーたるや筆舌に尽くしがたい現実をよく見かける。あの老ゴルファーなら激怒し、その憤怒で寿命すら縮めるかもしれない。
まずは、基本的なマナーの体得のため、3ホールほどコース側からベテランのメンバーやマナーのコーチ役を(プレーせずに)同伴させ、プレイヤーに説明を促す必要があるのではなかろうか。マナーということすら、まったく知らない初心者ゴルファーも少なくない。
また、スコアカードに、「ディボットやピッチマークを直しましたか?バンカーを直しましたか?危険球にフォーと声を挙げましたか?」など基本マナーのチェック欄を設けてもよい。
さらに、キャディ付プレーでは、キャディがマナーについてスタート前に説明した上で、マナーが遵守できたプレイヤーを密かに採点し、「グッドマナー・ゴルファー」として、帰りの際、フロントで多少の特典や賞品を贈ってもよいのではなかろうか。つまり、プレイヤーがキャディを採点する逆の形で、マナーにおいてプレイヤーが採点されるのである。
このような工夫は、マナーだけでなく、人としての礼儀や他人への思いやりを培う一端となるのではなかろうか。マナーの良いゴルファーとのラウンドは、人生をも満喫できる―。