最優秀賞 「ゴルフを本当のスポーツに~」~ 阿部 鉄午郎~(日本ゴルフ100年祭記念論文)

暑い夏の日差しにも負けずに林間には子供たちの喜々とした歓声が響き渡っていた。
一人で参加したパトリック君(11歳)は、思うにまかせない自分の打ったボールを必死に追いかけ、学科では英語が一番苦手という高校生の安藤君(17歳)が遠慮がちにアドバイスを送り、無事ホールアウトすることができた。
プレー中はもちろん、休憩時間もパトリック君に付き添うように面倒を見ていた安藤君のお母さんは、表彰式のパーティーでもそばにいて、微笑ましい雰囲気を出していて主催者から特別賞が贈られた。
夏休みの「日米ユースゴルフマッチ・親子親善大会」の一コマである。
この光景を関係者は複雑な思いで見ていた。それはこの子供たちからも「ゴルフ場利用税」を徴収しなければならないからである。
JGA(日本ゴルフ協会)を中心としたゴルフ関連団体は、ゴルフ場利用税の廃止運動をここ数年積極的に行っていて、その活動には敬意を表するものである。
ゴルフ場利用税は、そのほとんどがゴルフ場のある市町村の収入となっている。国全体の税収1%にも満たない微々たるものでも、地方の自治体にとっては貴重な財源であるため、なかなか難しい問題を孕んでいる。(仮にこの税が廃止されたとしても、自治体独自に緑化協力金、環境協力金などの名目で賦課することは可能であり、ゴルファーの負担は変わらないものと思う)
先の子供たちの大会では当局に打診したが、「学校の体育活動の一環」との証明書があれば減免できるということであった。しかしアメリカンスクールにその説明は難しく、また、日本の学校でもゴルフ愛好家がボランティアで行っている大会に、事故等の心配もあり関わりたくないというのが実情である。
「ゴルフを本当のスポーツ」にするために、18歳以下の学生、生徒から税金を徴収すべきでなく、特に義務教育の児童、生徒に何故この様な税金を課さなければならないのか?
野球、サッカーなど、人気のあるスポーツは教育現場で積極的に取り組まれているものがほとんどである。学校にゴルフ部が少ないのは指導者がいないという事とともに、税金のかかるスポーツは大人の遊び(贅沢)というイメージがあるからだと思う。
ゴルフ規則第1章はエチケットとなっている。判定で審判員ともめる他のスポーツと違い、自己責任と他者への思いやりを基本とするゴルフは、最も教育現場にふさわしいスポーツであると思われる。
せめてこの子供たちからセルフバッグに限ってでもいいから、税金を徴求するのはやめましょう。非課税ならばゴルフ場側もジュニアスクール等の施設の開放を含めその対策は取りやすく、本当のスポーツとして広く普及することは間違いない。