米国ゴルフ界に学ぶこと  ~河北 俊正~

From member’s Voice
21世紀を目前に控え、ゴルフ業界は未だ低迷状態が続いている。来年は日本にゴルフが伝わって100年という節目を迎える。ご存知のとおり、ゴルフ業界では一丸となって「ゴルフ100年祭」を開催することで、明るさを取り戻そうとしている。
そこで今回のフロムメンバーズボイスでは「日本ゴルフ界をさらに発展させていくには」を主たるテーマとして、会員4名に代表して助言、提言などの意見を寄せてもらった。

 

今年6月、ペブルビーチで行われた第100回記念の全米オープンは、タイガー・ウッズの驚異的スコアによる勝利で終わったが、テレビで観戦していて驚いたのは、その華やかさとギャラリーの多さだった。
聞くところによると、今年の米国はかつてないゴルフブームで、ナショナル・ゴルフ・ファウンデーション(以下NGF)の発表によると、昨年の年間ラウンド数の統計は前の年より7%も上回り5億6千4百万ラウンドという新記録に達したと言われる。
同じくゴルフ練習場への延べ入場者数も2億7千2百万となり過去の記録を塗り替えたそうだ。同時にゴルフ場のオープンも昨年は年間500コースを超え、これも過去最高、それに伴いゴルフ用品市場も回復し、米国ゴルフ用具メーカーの今年上半期の業績推移もおしなべて好調のようだ。
しかしこの米国ゴルフ界の活況はどこから生まれたのだろう。
確かに、稀代のスーパースター、タイガー・ウッズの出現によりゴルフが一躍注目を浴び、ジュニアを中心に参加人口が増えたことは想像に難くない。だが、それだけだろうか。確か、去年の今頃はアメリカのゴルフ業界もかなりの苦境にあったように記憶しているのだが……。
3年ほど前から、インターネットを通じ、主にアメリカのゴルフ業界の動きを、ほぼ毎日、ゴルフ関連協会やゴルフ雑誌のホームページなどをモニターしているのだが、それを通じて気が付いたことがある。それは、アメリカのゴルフに関する団体や組織が、いかに真剣にゴルフの振興に取り組んでいるかということだ。

昨年1月、NGFは、調査会社のマッケンジー社と組んで「ゴルフの将来の戦略的展望(A Strategic Perspective on the Future of Golf)」というレポートをまとめ、現在の問題点を如何に解決し、将来のゴルフの発展を目指すかということを業界各分野に示唆した。
NGFはこのような調査を定期的に実施してきており、過去の分析や未来予測も十分された説得力のあるものだった。
そのレポートに示された方策のヒントに業界が対応し、効果が現れだしていることも確かにあろうが、感心したのは、業界の各団体がそれぞれの立場で、懸命にゴルフの振興を図ろうとしている様がニュースを通じて伝わってくることだった。以下に例を挙げると、●USGAが政界、スポーツ界、芸能界の有名人を起用し「ゴルフ・マナー」のビデオを制作、業界に広く頒布。( 年)
●PGA、ゴルフダイジェストと共同で「無料レッスン月間(5月)」を企画。(これについては英国でもゴルフ・ユニオンが同様の企画を実施している。)
●アトランタ地域のPGAツアー、LPGAツアー、シニアツアーが同地区の大学のジャーナリズムを学ぶ学生に奨学金を寄付。(’99年)
●その他よく知られているジュニア育成のプログラム(First Tee Program)などに対する寄付―― ちなみに昨年、米国でオープンしたゴルフ場の84%がパブリックのゴルフ場だそうだから、米国のゴルフの大衆化はますます進み、タイガー人気に支えられたジュニア参入の増加で更に強固な礎ができたとの印象が強い。
振り返ってみるに、未だに苦況に喘ぐ日本のゴルフ界としては、将来のゴルフ振興策は果たしてどのように進んでいるのだろうか。
米国の話をすると、よく「日本のゴルフは米国とは育った土壌が違うから」という言葉が返ってくるが、本当にそれだけなのだろうか。もし彼我のゴルフが本質的に違うというのなら、そこに問題が存在するのかも知れない。
この3月、ゴルフ関連16団体による、来年の「日本ゴルフ100年祭」の企画(案)が発表されたが、これらの企画が単なる催しだけに終わらず、願わくば、将来の日本のゴルフ界の発展に繋がる具体的施策の一部として実行されることを期待したい。

〈プロフィール〉河北 俊正(かわきた としまさ)
1962年慶応義塾大学商学部卒業。同年、ブリヂストンに入社、  年よりブリヂストンスポーツ社勤務。ブリヂストンスポーツ社在職中は、企画部門、宣伝広報部門、海外部門業務に従事。 年、同社退職後、日本ゴルフジャーナリスト協会に入会。現在、海外のゴルフ情報収集、紹介などで活動中。