ICカードからの脱却と カードレスシステム導入への挑戦!

昨年の春、私達の練習場が導入しているリライト式カードのシステム業者より「カードリーダー製造終了」の通達がありました。練習場の精算方式は、現金やコインの時代から、使い切りプリペイドカード方式へ移り、現在はチャージ可能なリライト式カードやICカード等での精算方式が主流となっています。こうした中、業者からの突然の通達により、リライト式カードを導入している多くの練習場は、新たなシステムの更改に迫られています。

当社にとってさらなる災難は、独自の仕様でシステムを開発したため代替が効かず、全面的な入替が必要になってしまいまったことです。そこで、多額の費用をかけてシステムの全面更改をするならば、私達がこだわる【3つの想い】を満たす、他にはない魅力的な練習場システムを構築しよう、となりました。

■想い❶「システムの円滑移行」

私達のように独自の仕様で開発した旧システムを新システムへ移行するには、全面的な入替が必要になります。更には、現行業者が撤退したため、現行データの引継は困難となり、旧システムと新システムの並行稼働が必要になりました。また旧システムは突然停止する可能性があるため、あるタイミングで廃止し、廃止後は手作業で移行処理をしなければなりません。そのため新システムは、旧システムに入っている情報を円滑に移行できることが望まれました。

■想い❷「ICカードからの脱却」

私達は11年前に、使い切りプリペイドカードからリライト式カードにシステム更改しました。その際、ICカードを選択する道もありましたが、単価の高いICカードはランニングコストの負担増や、プリペイドカードと比較してカードに厚みがあり、利用履歴や残高がわからないことからも、お客様への不満に繋がることを懸念して、ICカードの導入を見送りました。

一方のリライト式カードは単価が安く、カードの利用履歴や残高がわかるので、お客様に不満を与えずシステム更改することができました。更には、サーバーダウンしても、カード単体にお客様の直近の取引情報が入っているので、営業に支障なくシステムを稼働できました。そのため、リライト式カードからICカードへ移行することは逆行しており、ICカードよりも進化したシステムであることが望まれました。

■想い❸「次世代システムの導入」

2020年頃よりコロナの影響もあり、キャッシュレス決済が急増するなか、現金での取引に加え、キャッシュレスでの決済取引を試行しました。特に行政が発行する地域振興券がデジタル化されたことで、PAYPAYやLINEでのキャッシュレス決済が大きな需要喚起となったことから、次に導入するシステムは「キャッシュレス化」と「カードレス化」が可能で、お客様が使い慣れたSNS等と連携した最先端のシステムであることが望まれました。

こうした【3つの想い】を抱き、約1年間に渡り様々なシステム業者と面会・相談をした結果、私達の想いを満たす魅力的な業者との御縁があり、本年度の導入を目指し、共に挑戦してゆきます。

■挑戦①「円滑な移行」

新システムでは、旧システムからの円滑な移行に挑戦します。新システムが旧システムのデータを引継ぐことで、お客様が旧システムのカードをチャージ機に投入すると、新システムのカードに自動でデータを書き換えて発行できるようにします。このように旧カードから新カードへの自動移行を可能にすることで、永続的に手作業での移行が不要なシステムにしてゆきます。

■挑戦②「QRコードの活用」

新システムでは、QRコードが記載されたPETカードの導入に挑戦します。チャージされるお客様には、ICカードよりも安価で薄いPETカードを発行し、当日限りのお客様には、感熱紙にQRコードを印字したレシートを発行することで、ランニングコストは大きく軽減します。さらに私達の施設は、配球機よりボールを配球するため、QRコードを読み取るリーダー端末も配球機の台数分で済むため、導入コストも安く抑えられます。

ただし、QRコードを記載したPETカードは、印刷や撮影により複製される可能性があり、脆弱なセキュリティが難点。そこで、チャージ上限金額を設定し、また希望のお客様には暗証番号(PINコード)の入力を設定することで対策します。

■挑戦③「LINEアプリの活用」

QRコードが記載されたPETカードの脆弱性を解消する更なる対策として、新システムでは、LINEアプリの導入に挑戦します。LINEアプリで、動的なワンタイムQRコードを発行し、複製利用の防止に繋げます。また、ワンタイムQRコードの発行だけでなくお客様の残高をリアルタイム表示させることで、リライト式カードで便利であった機能も搭載させてゆきます。お客様が慣れ親しんでいるLINEアプリの活用は、専用アプリを新たにインストールする手間が省けるだけでなく、すでに私達の公式LINEに登録されているお客様であれば、公式LINEのメニュー欄からワンタイムQRコードを発行できるため、PETカードからLINEアプリへの円滑な移行、つまりカードレス精算方式への移行に繋がります。

更には、ワンタイムQRコードを利用されるお客様は、必然的に公式LINEの登録者となるため、施設のイベントやキャンペーン情報を通知することができるので、囲い込みやプロモーション強化にも繋がります。勿論、LINEアプリが苦手なお客様でもQRコードが記載されたPETカードも両用できるので、すべてのお客様の利便性を保つことができるのです。

■2024年冬の導入にむけて

私達の次世代システムへの挑戦は、2024年冬頃の完成・導入を目指しています。リライト式カードリーダーの製造中止が現実となった今、同業の皆様の新たなシステム更改のご参考になれば幸いです。

私達の挑戦は続きます。

GEW 2024年6月号より転載

 

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ABOUTこの記事をかいた人

・関西学院大学 経済学部 卒
グロービスMBA(経営学修士)を専攻
・株式会社NTTドコモ マーケティング部
端末開発・料金制度・プロモーション・販路開拓を担当
・野原興産株式会社 多田ハイグリーンゴルフ 代表取締役社長
ゴルフ・テニス・フットサル・バッティング
フィットネスジム・スーパー銭湯・岩盤浴・レストラン
陶芸教室・学研教室・バーベキュー・鍼灸院の事業展開
・関西ゴルフ練習場連盟 監査
・鳴尾ゴルフ倶楽部 広報委員
・川西市商工会 理事
・サイボウズ株式会社 ハドルパートナー