2024年JGJA大賞は帯広国際カントリークラブ

JGJAは2025年1月28日、都内で「2024年第11回JGJA大賞」の表彰式と、JGJA新年会を開催した。

JGJA大賞とは「ゴルフを通じた社会貢献やゴルフの振興などに尽力した方を、独自の視点で選び、今後のさらなる活躍を応援する」という目的で2015年からゴルフ界の幅広い分野の方々を表彰している。

◆道東オープン50回継続の帯広国際CCを大賞に選出

JGJA会員の推薦による候補(個人・団体)の中から、JGJA会員による投票により、2024年の大賞に北海道・幕別町の帯広国際カントリークラブ(CC)を選出した。

【選考理由】

帯広国際カントリークラブは、地元振興のために「道東オープンゴルフ選手権」を50回に渡り、自社運営で開催を継続してきました。地元振興という目的を貫き、大きなスポンサーに依存せず、自社での開催を継続し続けた姿勢は、トーナメントとは何か、そこで大切にすべきことは何か、を私たちに教えてくれます。経済状況に振り回され、依存体質から抜け出せないツアーが見失った本質がここにはある、と言い換えてもいいでしょう。そのことを高く評価し、2024年JGJA大賞に決定いたしました。

表彰式には、同CCの柴田和則支配人、道東オープン実行委員会の藤原治委員長の2人が出席。JGJA小川朗会長から記念の盾を贈呈した。

大賞を受賞した帯広国際CCの柴田支配人と藤原委員長(左から)。右は記念盾を贈った小川JGJA会長

表彰式後、同CCの大賞候補推薦者でもあるJGJA浦東大人理事が司会を務め、同CCのこれまでの取り組みなどについて、JGJA会員ほか31人が参加して勉強会が行われた。

冒頭、道東オープン参加の実績があるプロゴルファー小山武明(タケ小山)氏が2人に会うために会場を訪れた。「50回(開催しているの)は、中日クラウンズとかダンロップフェニックスとか。JGJAはこういうところを書かない(笑い)。これからも長く続けていただいて、プロゴルファーの活躍の場をお願いします。私はローカルではめっぽう強いんですが、なかなか勝てない」とあいさつした。

道東オープン出場の経験があり、受賞のお祝いに駆け付けたプロゴルファーのタケ小山氏

時間の関係もあって、新年会も並行して行うため飲み物だけ先にとれるようにした。横山雅也・全日本練習場連盟会長が乾杯のあいさつに立ち「いま業界がいろんな意味でつながろうという動きになっています。もう1つは、先日のフジテレビの会見にありましたが、失敗した要因は今までならこうであろうという中で判断したものが今の時代に合わなくなってきているのではないだろうか。今の時代に合ったもの、今の感性に合ったものを追求していかないと取り残されてしまう。発信が一番大切であり、一般の人たちに届く。これからもご協力をお願いします」と話した。

JGJA新年会の乾杯のあいさつをする横山全日本練習場連盟会長

◆キーワードは「地域密着」と「スポンサー依存なし」

勉強会では、浦東理事が、帯広国際CCが開催する道東オープンについて「特徴が2つあります。スポンサーに依存しない。地域に密着している」とし、1975年(昭和50年)から続いている大会(2020~22年はコロナ禍で中止)について話を聞いた。

「私は42年前からしか知らないのですが、(同CCの)初代理事長と選手たちの手で立ち上げたと聞いています」と柴田支配人。途中で開催が危ぶまれたことはないのかという問いに「平成22年に預託金返還問題の後が厳しかった」(柴田支配人)という。預託金問題については会員の同意を得て永久債とすることで乗り切ったが、それまで「コースで全部お金を出していた」(柴田支配人)という開催方法の転換を強いられた。

現在大会実行委員会の藤原委員長を中心に当時、街でいろいろな業種の人に声をかけて「1万円でも2万円でも」とお願いに回って、開催資金を集めてきたという。飲食店で「1万円の協賛金を集めるのに、2万円のボトルキープしたこともありました」といまでこそ笑い話だが、当時金策は切実だったそうだ。

「(地元の)みんなで盛り上げてきたのがよかった。入場料は取っていません。お祭りに来てくれるのが大事」という。コロナで3年できなかったが、再開したときに前年分も出してくれる人もいたというから、地元密着、大口のスポンサーに頼らずにやってきた「力」を感じる。

現在、大会ではレギュラーのプロとアマ、シニア(60歳以上)のプロとアマ、レディースの5部門で行われている。「最近は『(出資する協賛金は)女子限定で使ってほしい』という方もいて」(藤原委員長)と、近年のゴルフ界の様相を映し出してもいるようだ。

ジュニア育成にも力を入れており、ジュニア会員(小1~高3)が毎年20~30人ほどいるという。来場したときはラウンド(かつぎ)、練習場を無料で提供しており、これまでプロゴルファー4人が生まれているそうだ。

◆無理せず協賛金を集めるのが長く開催する秘訣

勉強会で話す柴田支配人(左)と藤原実行委員長

質疑応答もあり、「スポンサーに依存しないで続けるコツはありますか」という問いに、藤原委員長は「無理に(お金を)集めないこと。集めすぎると大盤振る舞いになって(続かない)。集める大変さをみんなで感じること」と話した。行政とのつながりもなく、ゴルフ場単体でこれまで続けてきた。柴田支配人も「足を運んだり電話をしたりすると、もう少しだそうかと言ってくれるのですが、翌年のこともあるので無理をしなくていいです、といいます」という。

最後に「道内の方から『(コースがある)十勝って何もないところですね』と言われるのが悔しい。空気と水がおいしいところです。水道水をボトルに詰めて売っています」(藤原委員長)とアピールした。

本格的に新年会に入り、会場に用意した飲み物、食べ物を手に、大賞受賞者の2人を中心に、話の輪ができていた。

なお、JGJA大賞表彰式・勉強会では上記以外にも様々な裏話なども披露していただきました。その模様は下記で公開しています。

ぜひ、ご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

1959年北海道札幌市生まれ。札幌南高―北海道大学工学部卒。82年日刊スポーツ新聞社入社。同年から計7シーズン、ゴルフを取材した。プロ野球巨人、冬季・夏季五輪、大相撲なども担当。2012年、日刊スポーツ新聞社を退職、フリーに。
著書に「ゴルフが消える日」(中公新書ラクレ)、「ビジネス教養としてのゴルフ」(共同執筆、KADOKAWA)
日本プロゴルフ殿堂、国際ジュニアゴルフ育成協会のオフィシャルライターでHPなどに執筆。東洋経済オンラインでコラム「ゴルフとおカネの切っても切れない関係」を担当。趣味で「行ってみました世界遺産」(https://世界遺産行こう.com/ )を公開中。
【東洋経済ONLINEより】
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