運動&スポーツ情報サイト「Citta」からの質問!「ゴルフをはじめたい人向け~アイテムの選び方~」

運動・スポーツ情報サイト「Citta(チッタ)」から、日本ゴルフジャーナリスト協会会員でゴルフハウス湘南代表の小森さんへ、ゴルフについて気になるアレコレを質問する企画の第3弾です。今回は、「ゴルフをはじめたい人向け アイテムの選び方」について伺っていきます。

【Citta】では早速、小森さんにお話を伺っていきましょう。小森さんよろしくお願いいたします!

【小森】よろしくお願いします。

■ゴルフ用品、関連アイテムの市場動向

【Citta】早速ですが、まず前回のコラムでお話いただいた様に、コロナ期に増加したゴルフ人口に伴って、ゴルフ用品、関連アイテムにも何か変化はあったのでしょうか?

【小森】変化大ありです。(笑)
矢野経済研究所によると、ゴルフ用品の国内市場規模は、最も落ち込んだのが2020年の2,314億2千万円ですが、2021年は2,760億円に伸びて前年比119.3%。2022年は3,092億円で前年比112%と右肩上がり。2年連続で前年比2桁台のプラス成長となっています。
そして2023年の予測値は、3,184億3千万円と試算されています。前年比で103%です。これはコロナ前、2019年の2,653億3千万円を大きく上回っています。
※矢野経済研究所HP「ゴルフ用品市場に関する調査を実施(2023年)」(2023/10/11)より
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3352

新規参入といえば、異業種がゴルフに参入してきています。例えば、アパレル企業がゴルフウェアやキャディバック、シューズなどの販売を始めたり、空調メーカーが空調機能の付いたゴルフウェアの販売を始めたりです。

傾向としては、物価上昇のあおりで値上がり状況が続いています。それと相関してマークダウン品(旧モデルをメーカー主導で価格を下げて特価処分する商品)の販売構成比が上昇しています。国内で最も売れているゴルフクラブがXXIO(ゼクシオ)というモデルなのですが、これの最新版「ゼクシオ13」が昨年12月に発売されることで「ゼクシオ12」のマークダウンがその数ヶ月前から始まり、一気に品薄になったようです。安く買おうとマークダウンを待っていると、あっという間に在庫がなくなり、買いそびれるということもあるので要注意です。

■初心者必読!失敗しないゴルフ用品の選び方

【Citta】スポーツショップでもゴルフ用品を多く目にしますし、ゴルフ用品専門店も多く、需要の高さを感じます。ですが、これからゴルフを始めたい方にとっては、たくさんありすぎて選べない!という方もいると思います。
小森さん的に、失敗しないゴルフ用品・アイテム選び方のコツを教えてください!
また、ゴルフスクールの生徒の皆さんに普段どのようなアイテム選びのアドバイスをされているのかも合わせて教えてください。

【小森】「たくさんあり過ぎて選べない・・」確かにそうですね。(笑)
人口減少時代に突入している日本では、ゴルフに限らず「量より質」を重視し、より価値の高い商品を提供、商品単価アップを図る傾向にあります。ゴルフクラブ市場もしかり、多様化するお客様ニーズに対応すべく、クラブのモデル数も増えているというのが現状です。

では本題のクラブ選びのポイントですが、大切なのが「体力に応じたクラブを選ぶ」ということです。分かりやすいように、最も飛距離がでるドライバーを例に説明しましょう。

ドライバーは、多くの人はショートホールを除くホールの1打目、ティショットで使います。ドライバーは飛距離が出せるよう、シャフトが長く、ヘッドも大きく設計されています。

ドライバー選びで大切なのが「重量」です。体力に応じた重さのものを選んでください。重すぎるドライバーは振り切ることができず、十分なヘッドスピードを出すことができません。一方、軽すぎてもヘッドの重さを感じることができず、スイングのタイミングが合わなくなります。試しに、ゴルフクラブを逆さにし、ネック側(ヘッドとシャフトの付け根の部分)を持って振ってみてください。先端が軽すぎて、思うように振れないことが分かると思います。クラブをバランスよく振るには、体力に応じた適度な重さが必要なのです。

最適な重さの目安は個人差がありますが、一般的な男性でしたら300グラム前後、若くてパワーのある人であれば305グラム以上、女性や体力に自信のない方は300グラム以下のものを選ぶと良いでしょう。

重量の次に大切なスペックが、ロフトの角度とシャフトの硬さです。どちらもボールの弾道と飛距離に大きく影響を与えます。
ロフトとは、クラブフェイスの角度のことで、この角度が大きいほどフェイスは上を向き、ボールは上がりやすくなります。ドライバーの場合、ロフト角は、9度、10.5度のように、あらかじめモデルごとに幾つか用意されています。角度が大きいほどボールは高く上がりますし、角度が小さいと低くなります。初心者はボールが上がらないケースが多いので、11度以上がお勧めです。

ボールの弾道は低いと十分な飛距離は望めませんし、高すぎてもかえって距離が落ちてしまいます。ボールの弾道はその人のヘッドスピード(振りの速さ)やスイングのクセによって変わってきます。ショップの店員に相談するか、あなたのスイングのクセを知っているインストラクターがいれば、その人に相談すると良いでしょう。

シャフトの硬さも重要です。一見シャフトは固い棒のようですが、ビュンと勢いよく振るとムチのようにしなります。この“しなり”が重要で、しなったシャフトが元に戻ろうとする力を利用して飛ばしのパワーを高めています。ですから、シャフトは“適度にしなる”必要があります。しなりが足りないと飛ばしのパワーが十分生まれません。逆にしなり過ぎると、しなり戻りのタイミングが遅くなり、まだしなり戻りが生じていない状態でインパクトを迎えることになり、飛ばしのパワーが十分生まれないのです。

シャフトの硬さはフレックスといい、L(レディース)→A(アベレージ)→R(レギュラー)→SR(スティッフ・レギュラー)→S(スティッフ)→X(エキストラ)と表示されています。Lが一番軟らかく、右に行くほど硬くなり、Xが一番硬いです。一般的な男性はRを、女性はLを選びます。LとRの中間のAはパワーのある女性かシニアの男性向けです。Rより硬いのがSRやSでこれらはハードヒッター向け、Xはプロ向けです。
最適なシャフトのフレックスはヘッドスピードを目安に選ぶと良いでしょう。ドライバーのヘッドスピードとフレックスとの関係を以下表にまとめました。参考にしてください。(図1)


(図1)ドライバーのヘッドスピードとシャフトのフレックスとの関係

■スペックだけじゃない、クラブ選びの大事な要素

ある程度の規模のゴルフショップでは、店内に試打できるコーナーがあり、そこでヘッドスピードやボールの打ち出し角度、およその飛距離などを測ってくれます。重さやロフト角、シャフトの硬さなど、色々なクラブを試してみて、ベストなクラブをチョイスしてください。

重さ、ロフト角、シャフトの硬さといったスペックで選ぶポイントをお伝えしましたが、ドライバーを選ぶ要素はそれだけではありません。
ドライバーはクラブメーカーにとって主力商品ですので、各メーカーは力を入れて様々なモデルを開発しています。例えば、スライス(右打ちの場合打球が右に曲がること)しにくく設計されているものや、逆にフック(右打ちの場合左に曲がること)しにくいもの、飛距離重視で作られているものや方向性重視のもの、打球感や打球音に拘って作られているモデル等々です。あなたがドライバーにどの様な性能を求めているかを明確にしておくことも大切です。

とはいえ、初心者にとって、それは難しい問題です。よって初心者は、オーソドックスな初心者向けモデルを選ぶのが無難です。初心者向けモデルは、キャディバッグとセットで比較的安価で販売されています。以前はこの手のモデルは性能にやや難がありましたが、今は主要メーカーが出しているモデルはしっかりしたモノが多く、初心者が使うには全く問題ありません。
そして数年後、上達と共にゴルフのスタイルやクラブに求める性能が見えてきたら、その時買い替えを検討すればOKです。私も初心者にはこの様にアドバイスしています。

また、スペックや性能といった機能性だけでなく、色や見た目のデザイン性も重要です。なぜなら、クラブはゴルファーにとって大切なパートナーだからです。
「構えた時に安心感がある」「好きなプロが使っているモデルである」「モデル名やロゴマークが好き」「色やデザインが好き」といった“思い入れ”を反映させることも、クラブを選ぶ上で大切です。満足度の高いクラブを手にすることで、練習にもより身が入り、よりゴルフが楽しくなると思います。

■クラブ以外に必要なアイテムと服装について

【Citta】まず、これは揃えよう!ベスト5を教えてください。

【小森】まずは練習のために必要なアイテムは、ゴルフクラブ、クラブケース、グローブです。
ゴルフクラブは、ドライバー、ユーティリティ、7番アイアン、PW(ビッチングウェッジ)の4本があれば十分です。しかし単品で揃えるとかえって高くついてしまうので、初めからセットで購入する方が良いでしょう。その場合、初心者がコースを回る上で最低限のクラブが入っているハーフセットで十分です。

ゴルフシューズは不要です。なぜなら、殆どの練習場の打席は天然芝ではなく人工のマットだからです。ゴルフシューズは、芝生から打ったり歩いたりするのに滑りにくくできていますが、人工マットではスニーカーや運動靴など、運動しやすい靴の方が良いです。
ゴルフシューズをレンタルできるところもありますが、足に合わないシューズでの練習はかえって危険な場合があるので要注意です。

【Citta】最終的にはラウンドを回りたい!という方が揃えておくといいオススメアイテムはありますか?また、ラウンドを回る際の服装についても選ぶ注意点などあれば教えてください。

【小森】コースに出るにあたり、揃えるべきアイテムで大きなモノは、先程述べたゴルフクラブ(ハーフセットでOK)、グローブに加え、キャディバッグ、ゴルフシューズ、帽子(もしくはバイザー)、ゴルフウェア、ボストンバッグです。
練習の場合は練習したいクラブ数本が入るクラブケースで十分でしたが、コースとなるとクラブセットが入れられるキャディバッグが必要です。
後はゴルフボール、ティ、マーカーなどの小物です。これらは無くなるため消耗品と考えましょう。マーカーとは、グリーン上などでボールを拾い上げる時の“目印”です。これは購入しなくても100円玉などのコインで代用できますし、多くのゴルフ場ではコースに備え付けられているのでそれを使えばOKです。

服装について、コースによってドレスコードが決められていて、中には「ジャケット着用」が義務付けられているコースがあります。逆にドレスコードがフリーで、Tシャツ等のラフな格好でプレーできるコースもあります。コースによって異なるため、事前にゴルフ場に問い合わせるか、HP等でチェックしましょう。
ウェア選びで大切なことは、人に不快感を与えないことです。これさえ守り、コースのドレスコードに即した服装であれば大丈夫です。

■技術の進歩で更に面白くなるゴルフ関連アイテム

【Citta】小森さんが最近衝撃を受けた新商品やイチオシ商品はありますか?

【小森】Cittaから質問!の第一弾、「ゴルフ界のトレンド」(JGJA公式HP、2024年3月5日公開)でも述べましたが、ハンディタイプの弾道測定器の性能には正直驚きました。
また距離測定器の性能も驚きです。単に距離を測るだけでなく、ゴルファーの過去のスイングデータから、飛距離やショットのクセを把握、シーンに応じた最適なクラブを提案してくれたり、状況に応じてショットの狙うべきポイントやコースの攻略法をサポートしてくれたりする機種もあります。
中にはラウンド中のショットを自動で記録、全ショットの位置や飛距離、使用したクラブ番手などの情報をコースマップ上で振り返ることができる優れモノもあります。過去のラウンドを分析できるのですから、上達志向の高いゴルファーには嬉しい商品だと思います。

またエンドユーザー向け商品ではありませんが、キャディロボットが登場したのにも驚きました。ゴルフバッグを載せたカートがレーザー画像検出と測距技術でプレーヤーを認識し、一定距離を保ちながらプレーヤーの歩行に併せて追従走行してくれる、というものです。


(図2)ゴルフショップの距離測定器コーナーも充実(撮影協力:ヴィクトリアゴルフ藤沢川名店

【Citta】今後、ゴルフ用品や関連アイテムはまだまだ進化し続けると思われますか?
どういったものが流行っていくでしょうか?

【小森】思います。IT技術やAIの進歩は凄まじいですから。キャディロボットも、今は単にプレーヤーに追従して移動するだけですが(それでも凄い)、近いうちに距離測定器のプレーアシスト機能を搭載したキャディロボットが登場するでしょう。キャディロボットが、人間のキャディさんのように会話しながらプレーヤーをサポートしたり、時には冗談を言って気持ちを和ませてくれたりする日が来るのも、そう遠い先ではないと思います。

【Citta】小森さん、ありがとうございました。


※運動&スポーツ情報サイト「Citta」(2023年10月16公開コラム)より転載
https://citta-town.com/

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ABOUTこの記事をかいた人

【略歴】
1993年 サラリーマンからゴルフインストラクターに転身。
2004年 ハル常住さんが主管するハルスポーツビレッジ認定インストラクターとして“ゴルフと
    健康との融合”をテーマに活動を始める。
2005年 「有限会社ゴルフハウス湘南」の代表取締役社長に就任。
2008年 総合コンサルティング会社「株式会社船井総合研究所」と共同で、ゴルフ練習場活性化
    プロジェクトを立ち上げる
2011年 朝日新聞グループが選定する「マイベストプロ神奈川」に認定される
2018年 神奈川県未病産業研究会に参加
2020年 「一般社団法人日本健康ゴルフ推進機構」を設立し、会長に就任する

【メディア実績】
■ゴルフクラシック誌(2008年12月号~2010年12月号)
 連載「ゴルフが変わる!ボディ・チューンナップ」全24回を執筆
■週刊ゴルフダイジェスト(2014年1月28日号)
 「ボールを打たずに上達する!凄い練習法」掲載
■ビジネス情報サイト「Biz Clip」(2015年10月~)
 連載コラム「ゴルフエッセー~耳と耳の間~」現在も執筆中
https://www.bizclip.jp/

【著書】
「仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?」(出版社:星雲社)
 https://www.publabo.co.jp/golf/