期待に応えた松山選手
マスターズの歓喜に沸いた翌週から日本のゴルファー達は軽やかな足取りでラウンドをしながらマスターズ談義で盛り上がる。
今年は松山選手の話題でネタに困らない。
初日の8th Holeイーグルパットから始まり、3日目11th HOLEで右の林に曲げた2ndのリカバリーショットや18th HOLEのグリーンオーバーからのパーセーブなど、ハラハラドキドキのなか幾度もピンチをピンチとせず平常心を保ち続けた。
まさか、最終日最終組のTee Offで「Fore Please!Hideki Matsuyama NOW DRIVING!」のCallを聞けるとは…。
僕は2013年に初めてAugusta National Golf Clubを訪れ、Mastersを観戦した。
目的は、あんなにも美しくコースが映えるのか? このトーナメントは何故にゴルファーを魅了し熱狂するのか? という悶々とした自分の頭の中を整理する為である。
月曜日から日曜日まで、18HoleプラスPar3ホールを何周も歩き、その答えを肌で感じ取り、答えが見えた。(この話を語ると話が逸れてしまうので、またの機会があればお話したい)
この年は、アンヘル・カブレラとのプレーオフの末、かつてグレッグ・ノーマンら母国の偉大な先達たちが成し遂げられなかったオーストラリア人の初の快挙となるアダム・スコット選手が優勝した年であった。
今年のマスターズでは日本人ゴルファーの悲願であったタイトル獲得への期待に応えてくれた姿に誰もが心から称賛し、この快挙に沸いた。
2013年のオーストラリア人の喜びを日本人として同じ喜びを体感できたのだ。
良いグリーンでなければロングパットは決まらない
今回のマスターズでの松山選手のパットは冴えわたっていた。
試合の流れやショットを眺める一方で気になっていたのがコースコンディションである。
今年は世界から集まるボランティアのグリーンキーパーなしでの環境下で、特にグリーンは最高の舞台に相応しい、とても滑らかな転がりを用意されており、別の意味で感動した。
良いグリーンとはどんなグリーンか?
そう聞かれることがあるが、良いグリーンには次の要素がある。
- 滑らかに転がる(跳ねない)
- 芝目の影響を出さない(芝の葉の密度調整がなされていて葉の一枚一枚がアップライトに立っており、その葉先の上で摩擦をおこさないように転がる)
- 適度な硬さを維持している(根の深さのルートマットコントロールができている)
このような3拍子揃ったグリーンは、正確なチカラ加減によるパットをライン通りに打てれば、ロングパットがことごとく決まる傾向にある。逆にミスパットは当然に許さない。つまり結果オーライはない。またこのようなコンディション上にカップを切るとエッヂが鋭く利いてスーと抜けたり、クルっと回って入らない様になる。
Augustaのグリーンは2人1組になりグリーンの同じ場所を2重に丁寧に刈っていたことを、ふと思いだしながらも、ことごとく入れまくる松山選手のパッティングが心地よかった。
このパッティングの精度を高めるひた向きな努力は広くは伝わっていない。
新たなトーナメント観戦
今年のマスターズは新型コロナの影響でパトロンの数も制限しながらの開催となった分、マスターズのオフィシャルサイトのクオリティーは上がり、正直驚いた。
お気に入りの選手をフォーカスして72ホールの全てのショットがビデオとトラックを組み合わせて視聴できる仕組みであった。
またリーダーボード、プレーヤー、ファンタジー、追跡、ティータイムズ、コース、ビデオ、スケジュール、トーナメント情報、そして歴史も学べるというファンにはたまらない情報が満載でとても充実していた。
お陰様で、松山選手の278ストロークを全て楽しめた訳である。
リモート時代にマッチした、このオフィシャルサイトでの観戦の仕方も、今年は大いに楽しめた。また無料のアプリケーションもダウンロードでき、Mobileからも観戦できるという新たなトーナメント観戦であった。
チーム松山の功績
終始、松山選手から笑みが見られた今回の大会。
その裏にはチームの存在が大きかったことを伺わせる。
自身も高いゴルフスキルを持つ早藤将太キャディー。彼の姿は日本人の礼儀や文化を背中で表し、松山選手の優勝に美しく華を添えた。来年は1番のゼッケンをつけて再び活躍をしてくれると信じて疑わない。
そして身体改造並びにケアを支えた飯田光輝トレーナー、僅か2か月弱にジョインして、スイングからストロークを数値で見える化に取り組んだ目澤秀憲コーチ、通訳のボブ・ターナーさん、表彰式後のグリーン上で松山選手を囲む彼らの笑顔から解るようにチームで勝ち取った偉業ではないだろうか。
何かの事を成し遂げるにはビジネスでも当てはまるが、いかに良き出逢いに恵まれ聞く耳を持ち、自分自身が順応できるかにかかっている。
松山選手の周りには全てが揃い、そして寸分違わぬ歯車が回り出したのではないだろうか。
話は脱線するが…
緊張から解放された松山選手の優勝スピーチで一旦は「Thank you!」で終わろうとした際に、通訳のボブ・ターナーボさんが耳元でアドバイスをして「オーガスタ・ナショナルのメンバーの皆さん有難うございました」と言わせた背景には、グリーンジャケットホルダーとして、これからのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブにおける松山選手を案じてさりげなくサポートしている感が伝わってきた。
まさに微笑ましい光景であった。
ゴルフムーブメントへの期待!
松山選手の姿をみた明日のジュニア達、日本に留まらず世界の舞台にチャレンジして欲しい。そしてそのジュニアを可愛がるシニア世代、ジュニアの夢を応援していきながらゴルフという共通のコミュケーションツールをもとにゴルフ漬けになってもらいミドル世代やヤング世代も巻き込んで一大ブームを起こしてもらいたい。
No Golf No Life
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