令和元年のLPGAの初トーナメント「パナソニックオープンレディース」も、長いGWで来客が心配されたが、3日間で1万5千人を越えるギャラリーが訪れた。トーナメントは5月3日~5日間、会場は井上誠一設計の千葉県市原市にある「浜野ゴルフクラブ」。
結果は各メディア既報の通り、”勝みなみ”が全美貞とのプレーオッフを制し優勝、LPGAトーナメントの令和初賜杯を手にした。
この女子トーナメントで話題をよんだ新規企画が2つほどあり、1つはイベントを盛り上げる「ザ・ギャラリーホール」という企画、もう一つは「インサイドロープツアー」という将来を夢見るジュニア(小学生~高校生対象)がフェアウェイのロープ内側で観戦できるもの。
それぞれ趣向を凝らした企画で評判を呼んだが、特に「ザ・ギャラリーホール」について、実際に観戦してみた感想はトーナメントにおけるギャラリーを楽しませる新たな可能性を秘めている一方で、イベント内容と進行に改善点も感じられた。
「ザ・ギャラリーホール」という企画は、2008年男子トーナメントの「パナソニックオープン」から始まり、今年から女子トーナメントの「パナソニックオープンレディース」にも採用されたもの。
グリーン間近にギャラリースタンドを設置し、グリーンDJと呼ばれるパーソナリティとギャラリーがプレーを一緒に盛り上げようという趣向、ゴルフ観戦の新しいスタイルといえる。
今回の浜野ゴルフクラブでは9番ショートホールを会場として展開された(2日目と最終日)。司会進行をグリーンDJと呼ぶらしい。今回は米国女子プロでも活躍しラジオ番組も経験している東尾理子とベテランアナウンサーの松下賢次のコンビだった。
また選手がバーディを取るたびに、ギャラリースタンドに、記念のタオルをプレゼントする趣向や選手たちもボールのプレゼントし、双方で会場を盛り上げた。
女子トーナメントでの「ザ・ギャラリーホール」は、すでにステップ・アップ・ツアーで採用されていたが、今年からレギュラーツアーへ昇格したもの。パナソニックの目指す「ゴルフを、もっと『オープン』に。」というコンセプトのもとに、年齢、性別、経験を問わず誰でも楽しめる大会を提供して行きたいと意図がある。
昨年のパナソニックオープンの「ザ・ギャラリーホール」も、日本と海外のゴルフ事情に詳しいタケ小山と薬師寺広がグリーンDJを担当し、会場を盛り上げた。
これまでの静かに観戦するスタイルから、ギャラリーが選手の愛称やガンバレーという声援を、贈ったり、グリーンDJが選手の知られざるエピソードやアメリカのゴルフ事情を紹介するなど、ラジオ番組の生放送を目の前で聴きながら各選手のプレーを観戦、応援して会場を盛り上げるといった、これまでにないスタイルが選手にもギャラリーにも楽しさと刺激を与えていた。
DJタイムは選手がティーインググラウンドに立ち、ショットするまでの時間とショット後グリーンに登るまでの時間、そしてグリーンを去り、新たな組がティ―インググランドに来てティーショットするまでの時間である。
今回のコンビ東尾理子と松下賢次は、ゴルフ環境に慣れた聴きやすい話し方や話しのリズムなど、息のあった会話とムーズな流れが会場を和やかな雰囲気を作っていた。
敢えて意見を言わせていただければ、”心から面白かった、ユニークな企画”だったとは言い難いところも随所にあった。話す内容がいい時もあれば、話すべき時に話さなかったりと、会場を盛り上げるのにアンバランスが目立ったように受け取れた。
2日目は36組、最終日は19組を対象とするだけに、1日4~5時間以上ぶっ続けで生放送のアナウンスをせねばならず、パーソナリティの負担の大きさも十分わかるのだが・・・。
「ザ・ギャラリーホール」はギャラリーを盛り上げるための公開生放送の現場であるが、イベント番組づくりという視点からみると、構成作家や108人の選手の生きた情報を収集するスタッフがいたのかどうか。
お二人がラジオ・パーソナリティの経験があったことで、主催者はお二人に任せっきりになってはいなかったか、という印象を受けた。
イベントづくりにはもっと緻密な構成と演出の準備が大切である。初めての女子トーナメントであるだけに「ザ・ギャラリーホール」は、ギャラリーはじめ関係者全員から高い評価を受ける内容であってほしかった。
次回のチャレンジに期待したい。(記・紺野 望)
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