ホールの大きさ“4.25インチ”にクレームをつけた男!!

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「今日のパットは一筋ズレている。もう少し穴が大きかったらいいのにな!」と嘆息したゴルファーも多いに違いない。絶妙な大きさに感心したりもする。このホールの大きさ“4.25インチ”(108ミリ)を最初に使ったのはかのトム・モリスだという。セントアンドリュースの管理人として、またゴルフに大きく貢献した歴史上の人物であるが、このホールの大きさを採用した経緯について少々触れておこう。

19世紀の中ごろまでは、スコットランドのどのゴルフ場もグリーンに適当な穴を掘ってプレーしていたらしい。プレーヤーはボールをホールに入れるとボールを取り上げるが、その時ホールの周りを触ってしまい、穴がどんどん大きくなる。これを見ていたトム・モリスは、水道工事に使う排水管を切ってホールに埋め込むことを思い立ち試してみた。これが実に都合よく、周辺のゴルフ場も真似して広がっていった。

この水道管の直径が4.25インチ(108ミリ)だった。その後1891年にゴルフの総本山R&Aがこのホールの直径を正式に決め、それが今日まで続いているという訳である。ホールの大きさにクレームを付けた人はいなかったのか。いないから今日まで採用されていると、物の本には書いてある。

それがどっこい、調べてみると英米欧に定着したこの大きさに異議を申し立てる男がいた。その名はジーン・サラゼンというからまたビックリする。彼の提唱はこんな内容だった。ホールの大きさは4.25インチ(108ミリ)をその倍程度の8インチ(200.32ミリ)にすべきだ、という。

その論旨を簡単にいうと、ゴルフを決定するのは第2打であるから、パー4を例に取るとプロもアマチュアも2打でパーオン可能。プロはピンから12~15インチ(3~4m)内にオンは可能だが、アマチュアは20~25フィート(5~6m)程度になる。(当時一般的に言われていた距離なのであろう。現代でもそうかもしれない。)

したがって、穴が倍になっても、アマチュアは2パットを要するのに対し、プロは1パットの可能性が大きい。アマチュアに有利なのではなく、プロにとって有利なのだという主張である。ゴルフ業界にさまざまな論争を引き起こしたが、結論はホールの拡大はグリーンの形状を始めコースの改良まで繋がり、莫大な費用がかかる。その結果ゴルフそのものに変質を来す可能性ありという意見が大勢を占め、オジャンになったそうだ。

我々ゴルファーは、8インチとは言わなくても、ちょっとばかり大きくしてくれれば、あの忌まわしい3パットを避けることが出来るだろうと考えるが、ホールの穴の大小によって、コース設計の在り方まで関わってくるとは想像もしていなかった。このホール拡大論争はふた昔前のことであるが、ホールの穴の大きさが、ゴルフプレーの根幹に関わる重要な役割を果たしていることに改めて気づかされる。

〔記:紺 野  望〕

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紺野望

■1941年東京生まれ。東海大学文学部広報メディア学科卒。
■1965年 FM東海(FM東京の前身)に入局。
■1970年FM東京開局と同時に入社。放送営業、番組制作、イベント事業、経営企画室など各部署を経験する。
■1991年FM東京の衛星波、株式会社ミュージックバード放送開始と同時に移籍、受信機開発、番組編成、契約営業の各部署を担当、取締役営業部長としてコミュニティFM放送再送信事業部を設立し、新たな事業展開に携わる。
■2001年株式会社FMサウンズ(ラジオ番組制作会社=FM東京関連会社)の社長に就任、「TFMパーソナリティカレッジ」など開設。
■2005年ミュージックバード顧問、FM戸塚の顧問として後進の指導に当たる。コーディネーターとして関わったコミュニティFM放送局は50局以上。
■2010年「コミュニティFM進化論」を出版、話題となる。現在、ミュージックバードの顧問、FM戸塚の顧問はじめ、放送ライターとして、ラジオの現状を様々な形で発表している。放送界の賞:ギャラクシー賞のラジオ部門選考委員。ゴルフ活動TFM勤務時代、生ワイド番組でゴルフ情報コーナーを企画し、FM放送に新風を送り込む。FM戸塚をキィー局として近隣7FM局とネットワークを組み、番組「松井幸二のゴルフパラダイス」を3年間放送。ゲストにゴルフ業界人百数十人をゲストに招き、ゴルフの楽しさ、ゴルフマナーの普及などをテーマとして取り上げる。ゴルフ歴40年。浜野ゴルフ倶楽部会員。