毎年秋に行われる男子ツアーへの出場権をかけた「クォリファイング・トーナメント(QT)」に、史上初めてスポンサーがつき話題になっています。銀行系カードローン会社、SMBCモビット(本社・東京新宿)がQTに特別協賛。契約は1年ごとで、継続も期待されます。
QTは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)が主催し、ツアートーナメント、AbemaTVツアー(下部ツアー)に出場するため、シードを持たないプレーヤー(プロ、アマを問わず)が、チャンスを求めて受験する予選会です。
1次からファイナルまで4ステージがある過酷な予選会ですが、今年は7月31日から始まる1次をスタートに、11月29日~12月4日の6日間ファイナ(セントラルGC=茨城)までの期間、史上初めてスポンサーによるサポートを受けるQTになります。今季、下部ツアー(チャレンジツアー)にAbemaTVが冠となったのに続き、QTにもスポンサーと、冬の時代が続いていた男子ツアーに活況が蘇ってきました。
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これまでQTを通ってトッププレーヤーになった選手は少なくありません。
小平智、谷原秀人、池田勇太、藤本佳則、時松隆光、今平周吾、川村昌弘、片岡大育、星野英正、金庚泰(キム・キョンテ=韓)らがこのQTを通過しツアーで優勝を果たすまでになっています。
中でも小平は、日大を2年で中退してQTを受験。12年QT24位でツアープレーヤーとなり、以来5年間の国内ツアーで6勝。今季は米ツアーに挑戦し、4月にRBCヘリテージで米ツアーのチャンピオンにまで登りつめました。
QTとは別に、プロテストが毎年夏に行われ(PGAが主催)、これにパスすれば「日本プロゴルフ協会会員」になれますが、ツアーに出場するためには、QT受験で上位に入ることが必要となります。
ギャラリーもなく、一発勝負の厳しいQTの舞台。しかし、プロ・アマを問わずプロゴルフトーナメントの出場資格を獲得できる唯一の予選会なのです。資格を持たない若者、シード落ちしたプロたちにとっては再生できる貴重なチャンスがそこにはあります。
ファーストからファイナルまでの4ステージで構成され、全国19会場で4ヶ月以上の期間をかけてしのぎを削る大会です。最終予選は6日間108ホールを争う過酷なまでの戦いです。ファイナルQTの1位になると翌年のツアーへの優先出場資格、上位20位までがツアートーナメンへの出場資格をもらえます。
さらに上位120人が翌年のAbemaTVツアーへの出場資格が得られます。厳しい戦いになるQTには「もう2度といきたくない」という選手も多いですが、また多くのチャンスが埋まる舞台でもあるのです。
三井住友銀行グループの「銀行系カードローン会社」モビット(中辻信之社長)は、そんな舞台裏の日の当たらない?QTを支援することになりました。その理由についてモビット社は「QTを主催するJGTOの取り組み・姿勢に賛同してサポートすることになった」としていますが、協賛を機に企業CM「JGTO QTサポート編」も制作。
近々オンエアも始めるという意気込みです。この企業CMについてモビット社は「QTという厳しい試練に挑戦するゴルファー」と「自分を信じてひたむきに突き進もうとするビジネスマン」の姿をシンクロさせ、それぞれの夢に向けて悩み苦しみながらも前向きに頑張る人への応援という想いをこめたものーと説明しています。
1999年、JGTOが発足して以来実施してきたQT。その予選会に史上初めてスポンサーがついたJGTOは、7月25日都内で青木功会長、SMBCモビット中辻信之社長が列席して記者会見も行いました。
席上青木功会長は「スポンサーがついたことで選手のモチベーションも当然上がるでしょう。いいものを持った若者が出てくるのを期待したいし、QT自体がますます充実していけばうれしい」と大歓迎の意向を示し、モビット中辻信之社長は「JGTOが力を入れているQTをサポートし、それが国際社会への貢献にもつながればいいと思っている。
TVやインターネットなども通してQTをもっと多くの人に知ってもらいたい。日本のゴルフ界の発展にも寄与できればうれしい」と、語っています。
これまでQTトップ通過者には100万円の賞金が与えられてきましたが、この増額も検討されるという。
JGTOでは、今季下部ツアー(チャレンジツアー)がインターネットテレビ局のAbemaTVと特別スポンサー契約を結び「AbemaTVツアー」として全12試合を3日間競技にして完全ネット中継。
賞金総額も1500万円以上に取り決めるなど、男子ツアーの人気回復への改革を進めてきました。それに続きQTにスポンサーがつき、こんごのテコ入れが期待されるという新たな展開。陽の当たらないシビアなQTが、どう変わっていくか。見どころにもなってきました。
【この記事は2018-7-31 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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