「昭和の日」は昭和天皇の誕生日、崩御されて以降は「みどりの日」となり、「昭和の日」へと変わった。昭和の時代を懐かしく思う方々には記念日としてふさわしい日かもしれない。その昭和天皇が大変ゴルフ好きだったことは、今の若い方に知られていないような気がする。
昭和天皇は大正時代から戦前までゴルフをこよなく愛したことは有名な話で、ゴルフファンにとってはうれしいエピソードがたくさん残っている。その天皇がなぜ“ゴルフ”に魅了されたかを知ることも、またゴルフファンの楽しみの1つではないか。
昭和天皇が“ゴルフ”と巡り合ったのは早くも16歳ごろだったらしい。クラブを握り、コースでプレーしたという記録があり、後にご成婚されてからは良子妃に手ほどきされた。新婚旅行にはクラブを持参するほどの肩の入れようで、二人が主宰する宮中ゴルフ会を度々開いていたというから、並み並みならぬ執着がうかがえる。
また昭和天皇はゴルフを宮廷外交に取り入れた。日本ゴルフ史に残る大きな足跡となっている。特質すべき出来事である。1922年日英同盟存続か否かの重要な時期に、東京は駒沢の東京ゴルフ倶楽部で、日英両皇太子による世紀のマッチプレーが繰り広げられた。
それは1922年4月19日、来日中の英国エドワード殿下(プリンス・オブ・ウエールズ)とハルゼー侍従に対し、裕仁殿下と大谷光明(日本ゴルフの父)の組み合わせ、結果は1点差でエドワード組の勝利と記録にある(「日本のゴルフ100年」久保田誠一著)。1点差で相手に花を持たせるあたり外交の心得にも感心する。
この皇室外交についてウィンザー公(来日当時はドワード殿下)の回顧録にはこう記されているという。「私の日本訪問は、プリンス・ヒロヒトとのゴルフのために一層深いものになった。これはマルコ・ポーロ以来の最も注目すべき東洋と西洋との出会いの1つであったことは間違いない。ヒロヒトからのゴルフの誘いに私も喜んで応じた」と。両国の皇室外交として、国家を背負った外交だったことをゴルフファンは記憶しておきたい。
現在の皇室で、昭和天皇のようなゴルフを愛し、外交にまで結びつける様子は伺えないが、我々ゴルフを愛するものにとって、ゴルフの高潔にして哲学性の深いスポーツを、皇室に広まってもらうことを期待したいものである。
昭和天皇はゴルフに対して次のような言葉を残している。「ゴルフは運動として最も適切なものである。それには心を鎮め、精神を纏める効果があり、禅に虚無という言葉あり、その意味に近きものではないかと考える。」天皇がゴルフに親しみ、愛し続けたからこそ、ゴルフに込められた深みを、身に付けられたのであろう。〔記:紺野 望〕
私も長年ゴルフに親しんでおりますが、裕仁天皇がこんなにゴルフを愛され
また英国との皇室外交にマッチプレーが行われ、両国に外交にとって歴史的な友好関係が築かれた架け橋にゴルフが役立ったとのお話、はじめて知りました。と同時にゴルフをこよなく愛する一人としてとても感動しました。そして「ゴルフは運動として最も適切なものである。それには心を鎮め、精神を纏める効果があり、禅に虚無という言葉あり、その意味に近きものではないかと考える。」…のお言葉は心に染みました。これからの私のゴルフ道に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。
大変興味深い内容で感銘しました。