去る9月26日に、霞ヶ関ナレッジスクエアに於いて、日本ゴルフジャーナリスト協会主催のタウンミーティングが開催されました。タイトルは「日本のジュニアゴルフを歪めたのは誰だ?障害と解決策を徹底討論」で、パネリストにキッズゴルフ 石田信介氏・鹿沼カントリー倶楽部 福島範治氏・ザ ファースト ティ オブ ジャパンプログラム 古屋浩氏・プロゴルファー 三觜喜一氏を迎え、JGJA会長 片山哲郎の司会進行により、聴衆も交え3時間の討論会が行われました。
今回私は、向井康子理事、鈴木利和理事と3人でチームを組み、初の試みとなるフェイスブックのJGJA公式ページよりのライブ配信を担当しました。ライブ配信を終えての印象は、音声収拾の機器的課題や回線のコンディションと思われる不具合など、次回への宿題を頂戴した感があります。今後、理事会での討議を経て、可能な限り改善していきたいと考えおりますが、少しでも多くの方に関心を持って頂くという目的への小さな第一歩は踏み出せたかな?と思います。
この日は第1部がパネリスト4名のご紹介を兼ねた活動報告。第2部が聴衆参加型の討論会という内容でした。会を終えてから、色々な方からの感想やご意見を頂戴しましたが、多くの方が感じていたのは、第1部のパネリストによる活動報告が、終了予定時間を大幅に超過してしまった事によって第2部の時間が無くなってしまい、まさに盛り上がって来たところで終了となってしまった事への残念感…。
もちろん、答えや結論に至るとは思っていないが、いい雰囲気だっただけにもう少し続けたかったというのが、皆さんの想いとして残った様に感じました。
まさに私もその1人でしたので、今回のタウンミーティングの内容を踏まえて、私が感じた事をまとめてみたいと思います。
私が感じた事の一番は、ゴルフの性悪生。自分が40年以上もゴルフと関わる事で、多くの素晴らしい経験や人との出会いの機会を作ってくれて、さらにはそれを生業として現在も生活している訳ですが、そのゴルフがダークサイドに思えて来たのは、ちょっとショックでした。
それを語る前に、今回のタウンミーティングにおける、ひとつの論調の流れをまとめて整理しておきます。
先ず、ジュニアゴルフが歪んでしまう原因は、競技ゴルフ至上主義にあるという事。それに関わる「悪くした」要員として、メディア、ゴルフメーカー、親などが挙げられます。これに関する報告や指摘は、パネリストや聴衆からも多々ありました。
それに対するアンチテーゼとして、「アスリートジュニアではない。ゴルフを楽しむ事を目的としたジュニアゴルフ。」「素晴らしいゴルフを通じての人格形成を目的としたジュニアゴルフ」などについての活動実績やポリシーが、パネリストから報告されました。
しかし、私には違和感がありました。
ゴルフを楽しむということは、「1ヤードでも遠くに飛ばしたい」「1打でも少なくホールアウトしたい」というゴルフの原罪的欲求を満たすという事を否定した先に成り立つのでしょうか?当然、その過程では、競争も含まれると思います。となると、ゴルファーは皆、出家しなければなりません。
「1ヤードでも遠くに飛ばしたい」「1打でも少なくホールアウトしたい」という想いへの試行錯誤に全身全霊をかけて取り組んでいるのがプロゴルファーであり、私が真っ先に思いつくのは片山晋呉プロです。彼のゴルフ上達への創意工夫や考察は素晴らしいものがあると思いますし、ゴルフ界においてはかなり高いレベルに到達しているのは事実ですので、もしゴルフが性善生を持っているなら…、と思う訳です。
となると、ゴルフに性善生が無いのであれば、ゴルフとは関係ないところでの道徳教育や社会規範の習得などを修練し、いわゆる人格者としての道筋が出来てからゴルフを嗜む様な関係性では無いと、今回のタウンミーティングで答えとして導きたかった方向へはいかないのではないか?と思えて来ました。
エジンバラにゴルフソサエティーが出来たのは18世紀中頃ですが、先にジェントルマンが居てゴルフは後です。ゴルフがジェントルマンを産んだ訳ではないのですが、どうもタウンミーティングの総じた論調として、ゴルフがジェントルマンを産む様な錯覚を受けてしまい、それが「日本のジュニアゴルフを歪めたのは誰だ?」の答えとなってしまうのは、違うと思いました。
「何言ってんの!パネリストの皆さんは、まさにそれを実践している方々でしょ」
と言われそうですが、そこが論点ではなく、ゴルフが性善か?性悪か?というところで、私の中に違和感や失望感が残ったというのが、今回のタウンミーティングの私の結論です。
私の師であるクラブデザイナー故竹林隆光さんは、「ゴルフは大人の遊びだから」と仰り、実業の部分ではジュニアゴルフに積極的に関わろうとしませんでしたが、もちろん竹林さんもジュニアの頃からゴルフをやっていました。
なので、もし今回のタウンミーティングに続きがあるならば、「ゴルフは性善ですか?性悪ですか?」という問いかけを先ず行ってから討論に入った方が、より本質的な議論となるのでは?と感じた次第です。
私はゴルフの性善生を信じて来た者の1人ですので、もう少し自分なりに性善or性悪についてはよく考えたいと思いますし、そこから何がベストか?という答えを導ける様、日々努力していきたいです。
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