ついに法廷闘争だ。被害者千人超、被害額40億円とも言われる「ゴルフスタジアム問題」が新局面に突入した。
1日正午から西村國彦弁護士(左の写真=右から2人目)ら弁護団と被害者であるレッスンプロ2人が、都内の司法記者クラブで会見。リース・信販会社5社を相手取り、18人のレッスンプロが起こした第1次提訴の概要などについて説明した。
今回の事件は悪質リース商法の「小口リース」のゴルフ版だという。ゴルフスタジアムの営業から「ホームページを無料で作り、広告の掲載料金でチャラにする。代わりにスイング解析ソフトを購入したことにしてローンを組んでほしい」と持ち掛けられたレッスンプロらは、そのセールストークを信じ込んで契約を結んだ。
しかし今年の2月下旬、九州地区で掲載料の入金がストップすると、3月には同様のケースが全国規模で広がっていく。多くのレッスンプロや工房の経営者などが、リース・信販会社への支払いを背負い込むことになってしまった。
リース会社(信販会社)がサプライヤー(ゴルフスタジアム)にリース契約締結に関する事務手続きを行わせることが小口リースの特徴。販売業者が訪問勧誘の形でユーザーの元を訪れ、虚偽の説明や不実の告知により不合理な内容のリース契約を結ばされても、リース会社側は書面審査と電話による意思確認のみだから、その実体に気付きにくい。信販会社にしてみれば「気づかないふりをして審査を通しやすい」環境にもあるわけだ。西村弁護士も今回の件は「信販会社が(ゴルフスタジアムの)インチキ営業に丸投げした」ケースだと指摘する。
実際、今回のケースも信販会社からの審査は電話1本あればいい方だ。本人確認の電話が信販会社から入った際、あるプロが「私は収入の問題でローンが通らないと思います」と告白したところ、帰って来たのは「ゴルフスタジアムさんなら大丈夫」という言葉。その後、本当に審査が通った。
また、前回のゴルフスタジアム関連の記事でも書いたが、ブラックリストに載っている工房の経営者に審査が通ったケースも実在する。「ブラックに貸してブラックにするというブラックジョーク」(西村弁護士)も実際に起こっているのだから笑えない。
300万円から900万円とバラツキのある値段でプロたちがつかまされたスイングソフト(下の写真)に関しても実際使ってみると起動しないケースもあるという。
「4年くらい前に契約した(MA2=㊧の写真)で、昨年に再度更新した(MA3=右の写真)。元々PC対応だったのが、次にはスマホ対応になった。ホームページを作り直すので、と説明を受けたが、よく意味が分からないまま契約させられた。チャラだから、と言われて…。実際入金もありましたし」(上久保道好プロ)。
2月に始まったこの騒動。「ゴルフスタジアム被害者を守る会」の役員たちも、3月からは睡眠2~3時間の日々がずっと続いている。3月26日に西村弁護士が中心となり「ゴルフスタジアム信販問題被害者の会(仮称)」が結成された時、中心となったのが現代表の今西圭介プロ。4月30日に総会を開催し正式に発足するまでの間は「全然寝られなかった」という。
「1100人の被害者リスト(を参考)に電話をしまくって、LINEのグループに召集して…。1日何百人の人から電話があって。LINEは夜中になると落ち着くので、そこから返信してました」。
3000円の入会金を払い委任状を提出した正会員は500人を超えた。すでに18人のプロが先行して債務不存在の訴えを起こした。これから6月、7月と500人以上が後に続き、大型集団訴訟の様相を呈するはずだ。
今西代表は「事業やっている人や車を買うとか、そういう人はブラックになると困るでしょうけど、僕はまったくない」と頼もしい言葉を口にする。それにしても、冷淡に映るのは被害者を出している日本プロゴルフ協会と日本女子プロゴルフ協会の対応。「そもそも日本プロゴルフ協会がHPを作るサポートくらいしてあげられれば、今回のようなことにはならなかった」という西村弁護士の指摘は的を射ているというほかはない。
(ペン&カメラ=清流舎・小川 朗、The Tokyo Chronicle 6月1日配信分より転載)
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