デリーに”帝王“のゴルフ場 ~今井 康徳~

インドの首都デリーにゴルフ場が相次いでお目見えしているのをご存じ?それも帝王ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマンの設計ときては、エッ。持ち前の好奇心がもたげ、はるばる出掛けた。そのときの印象をお届けしたい。

関空からは週2便が運行され、デリーの国際空港まで約12時間のフライト。翌朝、ガイドの案内で、まずはJ・ニクラウス設計の「クラシック・ゴルフリゾート」(7114ヤード、パー72)に挑戦することになった。
幹線道路を南西へ1時間ばかり走ると、低い山の連なる丘陵の間にコースが現れた。
「風光明媚なところでしょう。ニクラウス氏がとても気に入ってくれました」(チョプラ・アシスタントマネジャー)。「名物ホールは、池の美しい16番です。日本から来てもらったのだから、ぜひバックティーからチャレンジして下さい」
一見、フェアウエーが広くプレーしやすそうだが、要所には大小のバンカー、池、クリークが巧みに配置されている。ナイスショットしたり、ロングパットが決まると「プロみたい」。ショートすれば「もっと強ーく」とキャディーが日本語で励ましてくれたのにはびっくり。
というのも、デリー周辺には各国から自動車やIT関連企業の進出が目ざましい。スズキは有名だしトヨタ、ニッサンなど日本のすべてのメーカーが工場生産しているという。現地のプレーヤーはごく限られているが、そうした駐在員の利用の激増ぶりが彼らの言葉になって表れていると分かって納得したしだい。
後半に入ると難度がじわじわと増してくる。16番ミドル(393ヤード)は左から池が大きく食い込み、つい右を狙いがち。が、「思いきってピンを攻めた方がいい」というキャディーのアドアイスで池越えに2オン。安全に右サイドから攻めた友人は、深いバンカーに捕まって明暗を分けた。インドでは帝王初のデザインということだったが、ここでも芳醇な香りを放っていた。

一方、「ナインレイクス・ゴルフリゾート」(7343Y、パー72)へは、市内からヤムナ河を渡って東へ約1時間余り。真っ白なバンカーが目を射た。「白砂も芝生も豪州から取り寄せました。平坦なかわり、バンカーや池が多いですよ」(メータ・マネジャー)。G・ノーマン(豪州)のデザインで、2年前のオープンと聞けばなるほど…。
9つの池が14ホールに絡み、ナインレイクスと名付けられた。バンカーも急傾斜で深く、母国メルボルンの有名コースを彷佛させるとか。距離がたっぷり(ブルーティーからでも6660ヤード)あり、つい飛ばさなければ…と力むとハザードのお世話になってしまう。
「美しいホールだが、タフですよ」とマネジャーが強調したのは14番ミドル(438ヤード)。池に沿ってやや右へドッグレッグ、このコーナーとグリーン左のバンカーが曲者だ。ティーショットは上手く避けたのだが、2打をガードバンカーに打ち込んでしまった。どのホールも青い芝、真っ白いバンカー、池のコントラストの鮮やかさが深く印象に残った。
デリーを訪れたのは昨年1月末だったが、思っていたよりコースのレベルが高い。カートでのプレーで料金は日本の半分以下、管理状況やセキュリティーもいい。ゴルフ場やホテル、街中でも英語でOKだし、名所、旧跡など観光スポットには事欠かない。インド5000年の刺激は5感に新鮮だった。

今井 康徳(いまい やすのり)
1934年生まれ。サンケイスポーツではゴルフツアー、ゴルフ特集を長らく担当し、現在は同紙のほか夕刊紙にも執筆。ゴルフ紀行、旅のルポなど月刊誌の依頼でマレーシア、タイ、インドネシアなど海外取材も多い。