毎年5月にゴルフ特集をする経済誌の今年のテーマは「日本のゴルフは変わった」だった。ここ7年で料金は大幅に下落。2000年から利用者が増加し、プライベートゴルファーが急増しているとのこと。要するに「競争激化によるサービスの向上で」ゴルフが身近になったというのである。バブル期はお客を断ることが仕事だったゴルフ場スタッフが、今や生き残りをかけてお客集めに走っている。この間の事情は日米の名門コースも似たような状況がある。最近ニュージャージー州で全米女子オープンをしたような名門コースでも、コース維持のため様々な名目でコースを会員外に解放して収益を確保していると聞いた。
やはり良いコースを維持してゆくには会員達だけの負担では難しいのであろう。ひるがえって日本のゴルフ場の将来を展望すると、デフレスパイラルの渦中で、料金と会員権が下がり続ける限り、明るい未来を語れる人は少ない。
相も変わらず舞台まわしは外資、RCCそして一部ゴルフ場の会員である。そして解決策の大半はやはり民事再生法(時には会社更生法)であり、これら法律の切り捨てご免の非道さをオブラートに包むため、中間法人が利用されているのが現時点の大きな流れであろう。
「一部ゴルフ場の会員」の中には、会員の大多数が一致団結したことによって見事なゴルフ場再建を成し遂げようとしているすばらしいゴルファー達がいる。
競売を放置した無責任経営者を排除し、外資と正面から対決して勝利し、自力でゴルフ場スポンサーになった清川クラブ。破産と競売の二重苦の中で、当初の方針どおり会員で落札した大金GC会員。再生法債権者集会での逆転によって会社更生法での解決可能性が出てきた浜野GC会員。再生法を使わず中間法人で「会員の会員による会員のための」ゴルフ場再生を目指す岐阜美山CC会員など、すばらしい胎動が全国で始まっている。
ゴルフ場問題は、伝統的法理論によれば、破産させて担保権と会員を整理しパブリック化して入札により新スポンサーを探すのが当然、と内心では多くの法律家は考えているはずなのだ。しかしながら、バブル期の金融機関・会員・ゴルフ場経営者のビヘイビアは、そのような法常識を大きく越えてしていたことの方が世間の認識となりつつある。
そこで民事再生法や会社更生法がゴルフ場に多数適用され、預託金の大幅カットの代償としてプレー権だけは保証しましょうというのが新しい常識に育ちつつあるだけなのだ。もともと法的にはプレー権すら配当によって清算可能である(つまり、なくしてしまってよい)というのが頭の堅い法律家の常識だったのに、今やその常識ははるか過去のものとなりつつある。
ただそのような新しい常識は、会員保護の観点からは望ましいのは当然だが、不良債権処理迅速化の観点からはむしろ障害となる面も否定できない。しかし、もう何でもありの時代が来ているようなのだ。「どうなる」ではなく「どうする日本のゴルフ場」というタイトルで会員、RCC、外資、金融機関が語り始める時代にしないといけないのではないだろうか。我が国の金融機関は会員問題を語るのはタブーとしてRCCや外資に委せきりだし、RCCは自らの前身の金融機関関係者の非は棚上げにして、ゴルフ場経営者を必要以上に悪者にしすぎる傾向がある。外資はバルク買いで多くのゴルフ場を買いすぎ、今後はいかにして売り抜けるかだけを考えているフシがあると思うのは私だけだろうか。
こんなことではそれこそ、「どうなる日本のゴルフ場」として世界中から笑いものにされるだけではないだろうか。