第10回JGJA大賞表彰式&新年会

「2023年第10回JGJA大賞」の表彰式と、JGJA新年会を2024年1月31日、都内の神楽坂カントリークラブで開催した。

JGJA大賞とは「ゴルフを通じた社会貢献やゴルフの振興などに尽力した方を、独自の視点で選び、今後のさらなる活躍を応援する」という目的で、JGJA会員による投票で2015年からゴルフ界の幅広い分野の方々を表彰している。

◆今年のJGJA大賞は欧州ツアー優勝の久常涼プロ

今年は、2023年DPツアー(欧州ツアー)のフランス・オープンで優勝を果たすとともに、2024年の米ツアー出場権を手にした久常涼プロ(21)を選出した。

久常プロは岡山・作陽高3年の時にプロ宣言し、2020年にABEMAツアーで3勝を挙げ、21年JGTOツアーでシード権を獲得、22年にシード権を保持した後にDPツアーのファイナルQTに挑戦して7位で出場権を獲得。23年にDPツアーに挑戦した。

今回の大賞の選考理由は「QTから挑戦したDPツアーのフランス・オープンで、日本選手3人目のDPツアー優勝を果たすとともに、日本選手として初めてサー・ヘンリー・コットン新人賞を受賞。ポイントランキングで2024年米ツアーの出場権を獲得し、欧州ツアーを経由して米ツアー出場権を手にした日本で最初の選手になった。海外を目指すゴルファーの励みとなり、今後の道しるべとなる快挙だった」。

本人は米ツアー転戦中のため、同プロを子供のころから知る株式会社HISATSUNEの代表取締役・正松本重孝氏が表彰式に出席し、代理でJGJA大賞盾と記念品のペンを、JGJA小川朗会長から受け取った。

JGJA小川会長(左)から、久常プロの代理で大賞盾を受け取った正松本氏

会場のスクリーンでは、大賞を受賞した久常プロのコメント動画を披露した。

 

◆久常プロのこれまでを株式会社HISATSUNEの正松本氏が語る

その後、世界ジュニアゴルフなどで久常プロを小学生のころから知るJGJA副会長・赤坂厚と正松本氏がトークセッションを行った。

久常プロがゴルフを始めたのは、自宅(岡山県津山市)の近くにある、岡山作陽高の田淵潔監督が経営する緑ヶ丘練習場に「4歳の時から通って覚えた」という。津山東中3年時の2017年に日本ジュニア(12~14歳の部)で圧勝。渋野日向子プロらも輩出している同高に進学し、2年生の時にJGAナショナルチーム入りする。3年の時にプロ宣言したが、その理由について「コロナが大きく影響しています。米国の大学2校から誘いがあったのですが、コロナで行けなくなった。ではどうするかということで」と、QTを受ける決断をしたという。

しかし、結果はQT順位1212位となり、ABEMAツアーにも出られない。それでもプロ転向し「地区大会といわれる大会に応募しながら、ABEMAツアーも予選があるものは全部顔を出した。そのころは職場がない状況でしたので、収入もなかった。ABEMAツアーで予選を通過したり、10位以内に入ると次の試合に出られるとかしているうちに、あっという間に3勝してツアーに昇格してしまった」と、急激な伸びにびっくりしたそう。

正松本氏(左)×JGJA副会長赤坂トークセッション

DPツアーに挑戦したのは「どういうルートで米ツアーに行くかということで、DPツアーから行くという選択をした。幸い、1年でいけるようになった」と、フランス・オープンの優勝、DPツアーポイントランキングでの米ツアー出場権獲得と、とんとん拍子に運んだ2023年になった。

言葉や食事なども英語が通じたら大丈夫。通じなくてメニューがわからなくても、とにかく注文すれば食べられるものが出てくるだろうという、たくましさもある。「小学校高学年ぐらいの時から、関東での試合に津山市から1人で夜行バスに乗り、朝新宿に着いて、荷物持って栃木とか茨城とかに行っていました。それは親の方針で、独り立ちさせると。今でも米国では宿、飛行機、レンタカーは自分で手配しています」といい、こうしたことは「(久常が)神様だと思っている」というDPツアーの先輩、川村昌弘プロも驚いたという。

米ツアーではどういう目標で戦っていくのでしょうか?「米ツアーでは125位がシード権、そしてフェデックスポイントを取って、次に70位以内でフェデックスカップ・プレーオフにでること」と、階段を1つずつ上っていく。

今後、どんな選手に育ってほしいと思いますか?「無精ひげを生やした顔を見たりすると、スマートな格好いい選手じゃないんじゃないかなと。ちょっと暴れん坊的な強い選手になってほしいなと思っています」と笑った。

会場に来た会員からの質問などにも答え、約20分のトークセッションを終了した。トークセッションは下記から全編をご視聴いただけます。

◆JGJA新年会でゴルフ関係者と会員が懇親を深める

表彰式後は、JGJA新年会を開催。乾杯の音頭を取った横山雅也・全日本ゴルフ練習場連盟会長が「会長になった6年前の(加盟練習場が)400弱から500を超え、今年は600に行くのではないかと思っています。仲間が集まってゴルファーを生み出していきたい。ジャーナリストの皆さんにはやはり発信していただかないと、みなさんに理解していただけませんので、今年も協力していきたいと思っていま」などとあいさつ。その後はJGJA会員、出席したゴルフ関係者らが懇談し、親交を深めていた。

JGJA新年会で乾杯の音頭を取る横山雅也・全日本ゴルフ練習場連盟会長(左)

また、JGJA小川会長からは、今回の新年会や、3月8日午前10時からジャパン・ゴルフ・フェア会場で女性ゴルファーにスポットを当てて行う予定の「JGJAセミナー」などの中で、能登半島地震の被災者への義援金を募る提案がなされた。

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1959年北海道札幌市生まれ。札幌南高―北海道大学工学部卒。82年日刊スポーツ新聞社入社。同年から計7シーズン、ゴルフを取材した。プロ野球巨人、冬季・夏季五輪、大相撲なども担当。2012年、日刊スポーツ新聞社を退職、フリーに。
著書に「ゴルフが消える日」(中公新書ラクレ)、「ビジネス教養としてのゴルフ」(共同執筆、KADOKAWA)
日本プロゴルフ殿堂、国際ジュニアゴルフ育成協会のオフィシャルライターでHPなどに執筆。東洋経済オンラインでコラム「ゴルフとおカネの切っても切れない関係」を担当。趣味で「行ってみました世界遺産」(https://世界遺産行こう.com/ )を公開中。
【東洋経済ONLINEより】
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