運動&スポーツ情報サイト「Citta」からの質問!「男子ゴルフと女子ゴルフの特徴・違い」

運動・スポーツ情報サイト「Citta(チッタ)」から、日本ゴルフジャーナリスト協会会員でゴルフハウス湘南代表の小森さんへ、ゴルフについて気になるアレコレを質問する企画です。今回は、「男子ゴルフと女子ゴルフの特徴・違い」について伺っていきます。

【Citta】では早速、ゴルフハウス湘南の代表の小森さんにお話を伺っていきましょう。

小森さんよろしくお願いいたします!

【小森】よろしくお願いします。

■ゴルフ人口の7割以上が50歳以上のシニア層

【Citta】「男子ゴルフと女子ゴルフの特徴・違い」について早速ですが、ゴルフ人口の男女比、年代比はだいたいどのくらいなのでしょうか?

【小森】ゴルフ人口は、レジャー白書2022(日本生産性本部)によると約650万人。うち男性は約520万人、女性は約130万人です。男女比では、男性8割、女性2割ですね。

15歳以上の人口(男性5,272万人、女性5,533万人)に対する参加率では、男性9.9%、女性2.4%、男女合わせると6.02%です。ナント国民の100人に6人はゴルフをしていることになります。これはスポーツの中では断トツの参加率ではないでしょうか?

とはいえ、長期的に見るとゴルフ人口は減少傾向にあります。救いは、近年、女性ゴルファーが増加傾向にあることでしょうか。

年代別では、20歳代が約38万人で参加率3.05%、30歳代が約56万人で4.07%、40歳代が約64万人で3.85%です。

さてここからが注目です。50歳代は約114万人で参加率6.65%と一気に増えます。そして、60歳代は約121万人で参加率7.97%、70歳代は約154万人で9.42%です。70歳代の国民は、10人に1人近くがゴルフをしていることになります。因みに80歳代は、参考値ですが約85万人で参加率8.95%です。

50歳代から80歳代までのゴルフ人口を合計すると約474万人。ゴルフ人口約650万人の実に7割以上(約73%)を50歳以上のシニア層が占めていることになります。

■ゴルフをする目的の多くが「健康のため」

【Citta】ゴルフ人口の7割以上が50歳以上のシニア層が占めているとは驚きです。コロナ禍の影響やアフターコロナの影響で増えてきた?(減った?)という事もあるのでしょうか。

【小森】矢野経済研究所によると、コロナ期に約110万人のゴルファーが創出されたと推計されています。

ゴルフは、屋外である程度の距離を保ってプレーするため、三密を回避でき、感染リスクが少ないというのが、人気が高まった理由のようです。コロナ禍でキャンプや釣りなどのアウトドアが流行った理由と同じだと思います。

一方、コロナによりゴルフを止めてしまった「コロナ早期リタイヤゴルファー」が、約18万人いると推計されています。

【Citta】なるほど。コロナ期で新たなゴルファーが増えた半面、コロナが理由でリタイヤされてしまった方も多くいらっしゃるんですね。新たにゴルフを始める方の傾向として、男性・女性での動機に違いはあるのでしょうか。

【小森】男女別のデータはありませんが、スポーツ庁が発表した「スポーツ実施状況等に関する市場調査」によると、ゴルフ(コースプレー)をした理由の1位は、「健康のため」で72.9%でした。2位は「楽しみ・気晴らしとして」で67.6%、3位が「体力増進・維持のため」で54.6%でした。4位以下は次のように続きます。

4位 「友人・仲間との交流のため」 43.6%

5位 「運動不足を感じるから」 38.9%

6位 「筋力増進・維持のため」 31.3%

7位 「肥満解消・ダイエットのため」 24.0%

8位 「自己の記録や能力向上のため」 17.7%

9位 「家族のふれあいとして」 10.1%

※この1年間に実施した種目について、「ゴルフコースでラウンド」と回答された方の「運動・スポーツを実施した理由」を集計

1位の「健康のため」と3位の「体力増進・維持のため」、5位6位の「運動不足を感じるから」「筋力増進・維持のため」、そして7位の「肥満解消・ダイエットのため」は、どれも自身の健康維持・増進のためといえ、最も多くの人がこの目的でゴルフをしていることが分かります。

次いで楽しみや気晴らし(ストレス解消)、交流やふれあい(コミュニティ)と続きます。自己の記録(スコア)や能力向上は意外と少数派であるといえると思います。この調査結果は、ゴルフスクール運営にとても参考になりますね。

ランク外ですが、「美容のため」という選択肢があり、パーセンテージは分かりませんが、これに回答している人が数名います。これはまず間違いなく女性でしょうね。

■シニア男性の“孤独”をゴルフで解決

【Citta】男性・女性での練習環境の選択やラウンドの楽しみ方には違いはあるのでしょうか。また、その違いに合わせて使用できる施設もあるのでしょうか。

【小森】練習環境の好みは、男女の差はあまり感じないです。しかしゴルフスクールに通われる時間帯は男女に差を感じます。土日に通われるお客様は、殆どが平日お勤めの方なのですが、朝イチ(8時台)のクラスは圧倒的に男性が多いです。そして少し遅い時間帯(10時台)は女性が多いです。

女性は主婦層が多く、朝食の準備や後片付け、洗濯などの家事を済ませてからレッスンにお越しいただく方が多く、10時台が多いのだと思います。一方男性は、朝食を食べたら即自分の時間で、サッサとレッスンに行ってしまうのでしょう。休日の時間の使い方は、まだまだ男女平等とはいかないようです。

もしかすると、朝食を食べたあと家でゴロゴロされるより、ゴルフの練習にでも行って家にいない方が奥様にとっても良いのかも知れません。(笑)

ラウンドの楽しみ方に関しては、男女の差はあると思います。

男性はスコアや飛距離にこだわる人が多い一方、女性はゴルフウェアやバックのデザインなど、ファッション性を重視する人が多いです。

男女の差といえば、練習場、コースを問わず、女性の方がおしゃべり好きです。初めて会った方同士でも、女性はフレンドリーに話をされています。一方男性は、おしゃべりよりもプレーに集中したいようです。よって女性の方が友達をつくるのが上手です。

今、日本が抱える社会問題の一つに、定年退職後のシニア男性の“孤独”があります。

現役の頃は仕事上の付き合いで、人と接する機会が多かった男性も、一旦退職すると、仕事上の人間関係が一気にゼロになります。友達をつくるのが苦手な男性は社会から孤立し、楽しみや生き甲斐を失い、一気に老け込んでしまうのです。このことがきっかっけで、早くに寝たきりや要介護の状態になり、QoL(Quality of Life)の低下を招くのは深刻な問題です。

私はそのような社会問題も、ゴルフで解決できると考えています。友達をつくるのが苦手な男性も、コミュニティ形成にも役立ち、好きなゴルフを通じてなら、友達をつくりやすいと思うからです。

弊社ゴルフスクールでも、お越しいただくシニア男性が友達をつくりやすい環境を提供し、コミュニティの輪をつくっていただく。そして、より充実したシニアライフを過ごしていただければと思っています。

■上達速度を左右する目標設定

【Citta】小森さんが指導をされる上で、男性・女性それぞれに合わせて指導を行っていると思いますが、特にどのような事を意識されて指導をなさっていますか?また、それぞれのお客様に対しての成功体験があれば教えてください。

【小森】私のゴルフ指導は、基本個別対応ですので、男性だから女性だからといった区別はしていません。

しかし一般的な身体特性として、男性は筋力が強い代わりに柔軟性が欠如しているケースが多く、女性は、男性に比べて筋力は弱いものの、柔軟性があります。この点は考慮して指導しています。

また男性は、飛ばそうと力任せに振り回す人が多い傾向にあます。そのような方には、まず脱力の必要性を指導します。一方の女性はミスショットでボールが変な所に飛んでしまうのを恐れて振れなくなることがあります。そのような方には結果を恐れず、伸び伸び振っていただくよう指導します。

成功体験ですか?ゴルフスクールにお越しいただくお客様は、個々に目的や目標が異なりますので、何をもって成功といえるかも個人によって異なります。ですからとても難しい質問ですね・・(汗)

新規入会のお客様には、入会時に必ずヒヤリングをするのですが、「何時いつに開催される社内コンペに出なければならない。それまでに何とか当たるようにして欲しい」といった切羽詰まった状況でお越しになるお客様は、男性に多いように思います。一方女性は、当たるようになったらコースに出たいと、のんびり構えていらっしゃる方が多いように感じます。

前者の男性に多いケースでは、期日が明確なので、それに向けてカリキュラムを組み、取り組んでいきます。

後者の女性に多いのんびりケースでは、まず目標期日を決めてしまいます。例えば「来年春にコースに出る」というようにです。何故ならこの方が、上達が早いからです。

「英会話が出来るようになったら海外旅行に行く」という人より、「いつ何時に海外旅行に行く。なのでそれまでに日常レベルの英会話が出来るようにする」という人の方が、圧倒的に英会話の上達が早いです。これと同じです。

ですから成功体験といえるか分かりませんが、早く上達いただくポイントは、個々の目標設定の仕方ではないかと思います。

■ゴルフ愛好家を増やすために必要なこと

【Citta】「その方に合わせた目標設定をする事」で上達や達成に導く。納得です。今後ゴルフ界で、男女共に愛好者を増やす為に求められる事とは何だと思われますか?

【小森】ゴルフをする理由はお伝えした通り、「健康の維持・増進のため」が圧倒的に多かったです。とはいえ、ゴルフをすれば誰もが健康になれるのかと言えばそうではないです。ゴルフは、健康の維持増進に役立つ素晴らしいスポーツですが、間違ったやり方をすれば不健康にもなり得るからです。

例えば、ゴルフは朝が早いからと睡眠不足でプレーをしたり、時間がないからと朝食抜きだったりです。また、ろくに準備運動をしないでいきなりドライバーを振り回すのも、不健康極まりないゴルフの仕方です。それだけではありません。ハーフターンの昼食時にビールを飲む、ラウンド中に喫煙するなど、とても健康とは程遠い不健康シーンが、ゴルフには多く見られます。

よって、ゴルフ愛好家を増やすために必要なことは、健康的なゴルフの仕方を啓蒙し、ゴルフの不健康要素を払拭することだと思います。健康を損ねる「不健康ゴルフ」に関しては、次のCittaコラムをお読みください。

『ゴルフで実践する!健康の維持増進のための4要素』(2022/7/11公開)

https://citta-town.com/column/post/349

またゴルフ指導者のスキルアップも不可欠です。恥ずかしながら、ゴルフ指導者は運動指導者でありながら、解剖学や生理学、そして生体力学などを学んでいる人間が少ないです。しかし、ゴルファーを怪我や故障から守り、より健康的にゴルフの上達を図るには、ゴルフ指導者にとってこれら学問は必須です。

よって、これらをしっかり学んだゴルフ指導者を育成していくことも、これからのゴルフ界には必要だと思います。

【Citta】小森さんは”ゴルフの可能性”について様々な場所で講演もなさっていて、先日も東京で開催された展示会でご登壇されたと聞きましたが・・

【小森】はい。昨年の8月3日(木)、東京ビッグサイトで開催されたゴルフの展示会、「第2回ゴルフパフォーマンスコンベンション」にて、9月20日(水)には、六本木で開催されたスポーツ&ヘルスケアに特化した展示会、「スポーツヘルスケアONEディ2023」にてセミナー登壇しました。

テーマは、8月のビッグサイトの方は「ゴルフと健康、医療・介護との連携」、9月の六本木は「ゴルフによる健康経営」です。どちらもゴルフの特性を活かし、広範に社会貢献することが可能であると熱く?語ってきました。

詳しくは下記レポートをご覧ください。

▽第2回ゴルフパフォーマンスコンベンション登壇レポート▽

https://ghs-school.com/report20230803/

▽スポーツヘルスケアONEディ2023登壇レポート▽

https://ghs-school.com/report20230920/

【Citta】小森さんありがとうございました!Cittaからの質問企画の第三弾は、「ゴルフを始めたい方向け、アイテムの選び方」についてお話を伺います。お楽しみに。

※運動&スポーツ情報サイト「Citta」(2023年9月18公開コラム)より転載

https://citta-town.com/

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ABOUTこの記事をかいた人

【略歴】
1993年 サラリーマンからゴルフインストラクターに転身。
2004年 ハル常住さんが主管するハルスポーツビレッジ認定インストラクターとして“ゴルフと
    健康との融合”をテーマに活動を始める。
2005年 「有限会社ゴルフハウス湘南」の代表取締役社長に就任。
2008年 総合コンサルティング会社「株式会社船井総合研究所」と共同で、ゴルフ練習場活性化
    プロジェクトを立ち上げる
2011年 朝日新聞グループが選定する「マイベストプロ神奈川」に認定される
2018年 神奈川県未病産業研究会に参加
2020年 「一般社団法人日本健康ゴルフ推進機構」を設立し、会長に就任する

【メディア実績】
■ゴルフクラシック誌(2008年12月号~2010年12月号)
 連載「ゴルフが変わる!ボディ・チューンナップ」全24回を執筆
■週刊ゴルフダイジェスト(2014年1月28日号)
 「ボールを打たずに上達する!凄い練習法」掲載
■ビジネス情報サイト「Biz Clip」(2015年10月~)
 連載コラム「ゴルフエッセー~耳と耳の間~」現在も執筆中
https://www.bizclip.jp/

【著書】
「仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?」(出版社:星雲社)
 https://www.publabo.co.jp/golf/