17日間にわたって行われた東京オリンピックが8月8日に閉会式を迎えた。
前回、2016年のリオデジャネイロ大会でオリンピック競技に復活したゴルフ。
男子では松山英樹が銅メダルをかけたプレーオフに進出するなど、最終日の視聴率が20%を超え、さらに女子でも、稲見萌寧が銀メダルを獲得と、大きな盛り上がりを見せた。
日本人選手の活躍はもちろん、「3位のために、こんなに必死にプレーしたことはない」と発言したローリー・マキロイや、KPMG全米女子プロゴルフ選手権でメジャー初優勝を飾った女子世界No.1のネリー・コルダの金メダルなど、コロナ禍で出場を見合わせる選手もいる中、世界のトップが最高のパフォーマンスを披露した。
その一方で、中継を見ていてガッカリしたことがあった。
それは、「せっかくのオリンピックの機会にもかかわらず、もう少し選手に関する情報があっても」というものだ。
例えば、初日に星野陸也とトップスタートで出て行ったベルギーのトーマス・ピーターズ。
過去の出場成績を見ただけでは、この2年は調子が悪いと紹介されていた印象を受けた。確かに、この2年間は優勝がなく、ライダーカップ出場経験がある彼には物足りない成績ではあるが、お子さんが生まれてから約1年ということを考えたり、日本に向かう前の模様を、そのお子さんの写真付きでSNSに投稿しているのを見ると「仕方ないのかな?」という思いもある。生活の変化や家族を優先することから、成績を落とす選手は少なくない。
また、パラリンピックも開催するのだから、聴覚障害を持ちながら、世界で活躍するクリスチャン・ベズーデンハウト(南アフリカ)のストーリーなども、もっと紹介してほしかったなと残念な思いが残った。
20年前と変わらないゴルフ中継
私は、今回のオリンピックの中継を見て、約20年前の1999年の全英オープンを思い出した。
同年のカタールマスターズで優勝したスコットランドのポール・ローリーが制したが、最終ホールでトリプルボギーをたたき、プレーオフで惜敗し、悲劇のヒーローとなったジャン・バンデ・ベルデの2人が一躍有名になった。両選手ともヨーロピアンツアーファンにはおなじみ、それも全英オープンに出るほどの実力を持っているにもかかわらず、まるで無名選手扱いされていたのは、今も鮮明に記憶に残っている。
今回のテレビの視聴率を考えると、オリンピックだからということで見ていた方も多かったと思う。
今後、少なくとも何十年は無いであろう日本での夏季オリンピック開催は、世界のゴルフシーンや、プレーヤーを伝える大きな機会であったのではないかと思うと、今も寂しい気持ちが残る。
しかも、アメリカPGAツアーやヨーロピアンツアーを主戦場にしていないプレーヤーがいたのは分かるが、全英オープンの参加選手数が150名を超えるのに対し、オリンピックではその半分以下の60名。
ゴルフ専門の方だけが携わるのではないのを差し引いても、もう少し選手の個性が伝わるような情報が紹介されていたらと感じた。
20年前と違い、ほぼヨーロピアンツアーの中継を、日本語の実況、解説付きで見られないというのはあるが、SNSでの選手の情報発信に加え、各ツアーがYouTubeなどを使い、動画配信も行っているなど、入ってくる情報は圧倒的に増えている。
このような情報収集には、間違いなく英語力は要求されるが、今後のゴルフ界を考えると、オリンピックを通じて、関心を持ってくれた人を大切にしていくべきだ。
女子で4位に入ったアディティ・アショク(インド)の、コロナ禍でまともな練習ができず、古いカーテンをネット代わりに練習していたなどの、日本人選手だけではなく、各選手の持つストーリーに、胸を動かされた方も少なくないだろう。
コロナ禍で、屋外でソーシャルディスタンスを保って、体を動かせると注目を集めるゴルフ。
このオリンピックで増えたであろう新たなファンを定着させるにも、さらなる工夫が必要なのではないであろうか。
先ず映像に臨場感が乏しい、各国の代表の説明がない、珍しいほどの順位にいる人への配慮して情報量がやたら少なかった。ルールの説明に事欠き進行に滑らかさを失っていた。世界の国々から来て参加しているのに国際映像的に最初から最後まで責任をもって放送をしてください。途中で切れたとか、日本人がいないなら終わりみたいになって届けるんですよと言う様な心を感じない。世界へのスポーツ報道ですよ。