【 GOLF・スケッチブック 】
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今日は調子がいいなあ・・・どうしたんだろう! なんて自分の腕をいい意味で疑ったりした経験はありませんか。自分のベストスコアが出る時って、案外そんな場面ですよね。ところで、付いてるとか運がいいということがよくあるが、ラウンドを通して、やることなすことがことごとく上手く行く、そんなプレーを周りは「ゾーンに入ったゴルフだね!」と言ったりする。
この「ゾーンに入るゴルフ」とはどういうことなのか。あのフィル・ミケルソンの例でみてみよう。2004年のマスターズ優勝の時のコメントで「私は、マスターズ最終日のバックナインで起きたこと、最後の7ホールで5つのバーディを奪ったが、その時は何もかもゆっくりしたペースで進み、自分が打ちたいショットの軌道がはっきりと見え、グリーンにボールがどのようにころがっていってほしいかも完璧にイメージできた。」(*1)と言っている。
このゾーンに入ったプレーというのはゴルフだけであろうか。ハンマー投げのスペシャリスト室伏広治の言、「すごい集中しているけれど、同時に無駄な力が抜けていてリラックスしている。没我状態の中で、体とハンマーの回転のスピードはどんどん加速しているのに、すごくゆっくり感じる」(*2)と日本記録を出した時に語っている。
「ゾーン」という現象と同じように使われる言葉に「フロー」が使われる。この違いはあるのだろうか。脳科学者の茂木健一郎は自分のブログで「フロー=ゾーンというとらえ方が多いが、両者を区別するのも有益であるように思う。フローの最高の段階を「ゾーン」と呼ぶことにしてはどうか」と提案などしている。この違いははっきりしてないようにみえる。
「ゾーン」あるいは「フロー」という現象はスポーツだけに生まれるのではなく、一般仕事の上でも生まれるようで、そのことについては別の機会に触れることとして、「ゾーン」あるいは「フロー」という現象は、どういう状態を指すのか。一般的にこういう状態のようだ。①行為に集中、没頭している状態、②浮き浮きした高揚感が漲り、➂雑念が殆ど浮かばない、④時間の感覚がない、⑤自分自身の感覚を喪失している、⑤その場を支配している感覚、⑦周囲の環境と調和感、一体感、と表現している。(*3)こういうものが一体となって現れる状態のようだ。
さて、ゴルファーにとって意図的に「ゾーン」や「フロー」状態を創り出せるのか。もし出せることができたらなら、ぜひチャレンジしてみたいと思うのは当然であるが、
研究者によると可能であるという。夢物語に聴こえるが、その方法は研究者によると、スポーツ心理学では理想的な心理状態に入る要因・条件を次の10の項目にまとめているそうだ。
(1)試合前のプラン、(2)自信と心理状態、(3)身体的準備と心理的準備、(4)興奮のレベル、(5)自分のプレーをどう感じるか、自分の進歩をどう感じるか(6)プレーへのやる気、(7)環境と状況の条件、(8)集中力、(9)チームプレーと相互作用、(10)経験、(*4)以上10項目である。
これらが総合的に作用してゾーンに入るのだそうで、はてさてアスリートのプロゴルファーはともかく、アマチュアゴルファーにとって自ら「ゾーン状態」を作り差すのは並大抵のことではなさそうだ。東京オリンピックを控えて、各分野の選手たちは「ゾーン」を求めて、コーチと二人三脚でトレーニングを重ねて行くようである。好成績を期待したいところですな。
〔記:紺 野 望〕
参考資料 (*1)「フローゴルフへの道」/ジオ・バリアンテ著 (*2)「ゾーンの入り方」/室伏広治著(*3)「運命の法則」/天外伺朗著 (*4)「意図して「ゾーン」状態に最高のプレーで実力発揮」:日本経済新聞ネット記事より/東海大学知育学部 高妻容一教授 記
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