弱いものいじめに反発するゴルフ場? 宮崎 紘一

SLEルール」は本当にゴルファーのためになるのか!
高反発フェースのドライバーはクラブとして認められないというけれど・・・

クラブフェースの反発係数を0・830以内に抑えるSLEルール(スプリング効果規制)が2008年1月1日から施行される。高反発クラブはゴルフ規則によって正式なゴルフ用具として認められないというもの。しかし、現状では「ルールだからといって素直に受け入れられない」などの意見も多く、一般ゴルファーやゴルフ場も含めて賛否両論が渦巻いている。SLEルールの今後の問題点、一般のアマチュアゴルファーに与える影響などについて識者の意見を集めてみた。


 

弱いものいじめに反発するゴルフ場?  宮崎 紘一

いよいよ08年1月1日から、高反発ドライバー禁止のSLEルールが実行される。もちろん「ルールに従う」のは当然である。だが全国1200万人といわれるゴルファーにルールが浸透するにはそう簡単にはいかない。そしてルールが徹底される一番の窓口は、プレーをするゴルフ場である。受け入れるゴルフ場はどんな対策を講じるのだろうか。

ゴルフ場にとって、主催するクラブ競技や、その他の公式競技などはまったく問題ない。

会員にはすべて通知ずみだし、また競技に参加する会員のほとんどは「高反発ドライバー」は08年から禁止されることや、それを使えば競技失格になることは認知している。

だが、1200万人といわれるゴルファーのうちで、いわゆるクラブ会員として登録している人は全体の2割前後で、残りは非会員である。ゴルフ場が苦慮するのは、ビジターであるこの人達への対策だ。

日本パブリックゴルフ場事業協会の島田忠次専務理事が語る。「当協会が主催する一切の競技会に関しては、すべて新ルールを採用します。ただしそれ以外となると、加盟ゴルフ場個々の判断にまかせるしかありません。プライベートな遊びにまで強制はできないのが事実です。ドライバーは1本何万円もする高価なものです。ルールだからといって買い替えをとやかく言うことはできませんから」

ではその加盟コースでもある千葉よみうりCCはどうなのだろう。こちらは、登録会員(約500名)には、07年に全員通知をしている。会員主体の競技会はもちろんルール遵守の方針だ。更に一般来場者向けにはクラブハウス内で掲示をしている。だがそれも強制ではない。「遊びでいらっしゃるお客さまに、使用禁止ですとは言えません。あくまで自主判断にまかせる方針です」

「カジュアルゴルフ」をモットーとするアコーディアゴルフ(07年12月12日現在、128コース運営)も同様の判断だ。もちろんクラブ競技などはルール遵守だが、一般プレーにはあくまで自主判断。ただし同社は、プロショップを充実させているが、こちらでは07年後半から高反発ドライバーの発売は取りやめている。ある意味柔軟な対応だ。

「ピクニックゴルフ」のアイディアで、ゴルファー増加に力を入れている朝日コーポレーション(全国6コース運営)の手塚寛社長は「ルールだから何でも従えという前に、ゴルファーの立場をもっと考える必要があるのではないでしょうか。メーカーも買い替え時に下取りをするとかの考慮をするべきです。もちろんクラブ競技などはルールに従います。ただルールと決め付ける前に、もう少し配慮があっていいのでは」

「ゴルフはルールに従ってプレーすべき」とJGA(日本ゴルフ協会)は、天の声のように言う。しかしそれならゼネラルルールを無視して、都合のいいローカルルールを勝手に作ってきた日本のゴルフを野放しにしてきた責任にどう答えるのか。SLEルールは、暫くはかなりの混乱と、トラブルをゴルフ場に巻き起こしそうだ。