訃報 JGJA会員 川田泰三さん逝去

JGJA会員でゴルフライターの川田泰三さんが8月4日、入院先の武蔵野日赤病院で逝去された。血球貪食症候群という国内でも症例の少ない難病で、多臓器不全を併発。享年66歳だった。告別式は執り行わず、8月6日に密葬(喪主・映子夫人)で送られた。

川田さんは1974年に早稲田大学文学部卒後、サンポウエディターズへ入社、週刊アサヒゴルフ編集部に配属され、1984年に独立してフリーへ転じると、ゴルフ用品の取材を中心に多くのメディアへ寄稿された。特にゴルフクラブの素材、構造、理論については国内第一級の書き手であり、近年は「地クラブ」の台頭に逸早く着目。海外のアッセンブル理論の紹介や、カスタム・フィッティングの資格制度立ち上げの必要を訴えるなど、ゴルフ市場の底上げを自らの健筆で主導された。日の当たらない小規模メーカーに足繁く通い、各社の特徴や生き様を丁寧に伝える筆致が持ち味だった。

ハイテク機器への造詣も深く、日本に紹介されていない海外の計測器や最新のフィッティング・システムを取り上げ、これらの機器が将来のゴルフ市場に与える影響を予測。その考察記事は、業界関係者に有益な示唆を与え続けた。

直言居士でもあった。柔らかい口調ながら、メーカーに対する直截な批判は、時にうるさがられもしたが、正鵠を射ており、記者とメーカーの蜜月な関係にも無関心で、恬淡とした態度を通されてきた。

ベテラン記者でありながら、新発見を純粋に喜び、話し出すと止まらない癖もあった。

四谷「有明屋」の佃煮が、好物であった。

川田さんの筆による記事は、特にゴルフクラブの変遷・進歩史として、あるいはこの業界に携わる者の教養文献としても、読み継がれるべき価値がある。ゴルフ各誌のバックナンバーには、多くの「川田原稿」が眠っている。折に触れ、古いページを開いてみたい。

衷心より、御冥福をお祈り申し上げます。                  合掌
                                
片山哲郎