7月4日(月)、当協会が主催する第四回タウンミーティングが「日本のゴルフは、五輪でメダルが獲れるのか?」と題されて、都内、霞ヶ関ナレッジスクエアで開催された。
今回のタウンミーティングは、リオ五輪を前にして、112年振りにオリンピック正式種目に復活したゴルフ競技で、日本選手がどこまで戦えるかを占う有識者による討議と、聴衆との質疑、討論を中心に展開。登壇者は、スポーツ庁・鈴木大地長官の基調講演を皮切りに、日本ゴルフ協会(JGA)の永田圭司副会長、ゴルフ好きで知られる評論家の大宅映子氏、早稲田大学スポーツ科学学術院の間野義之教授、そして韓国女子プロゴルファーで、現在ゴルフアカデミーを経営、韓国女子ツアープレーヤーをサポートしながら、後進の指導や講演に従事している金愛淑(キム・エースク)氏に依頼。司会は当協会の小川朗が務めた。
間近に迫ったオリンピック、世界ランキングによる各国代表が決まりつつある現在、ブラジルの社会情勢、ジカ熱騒動、その他の理由などにより、男子はトッププレーヤーの出場辞退が続いており、ついにこの日の朝(現地時間7月3日)には、日本代表が確実だった松山英樹選手までがオリンピック出場辞退を表明するというハプニングが起き、いきなりミーティングも急遽この出来事を背景に開催することとなった。会場には一般及びゴルフ関連メディア、ゴルフ団体、ゴルフ施設、ゴルフ用品メーカー、ゴルフコーチ、学生を含む一般ゴルファーなど、合計81名の参加者を得て、活発な議論が展開された。
冒頭、鈴木長官は「松山選手の代表辞退は残念だが、選ばれた選手の精一杯の活躍を期待したい。ゴルフについてはメダルを目指すだけではなく、生涯スポーツとして大いに応援していきたい。ゴルフ場利用税廃止については今後も取り組みたい。若い人達がもっと参加して欲しい」と挨拶。ただし、「ゴルフ業界は団体が多すぎてわかりにくい。もっと一本化して取り組むべきではないか」との苦言も呈した。
また、JGAの永田副会長は、現在のオリンピック代表決定の経緯と今後の予定について説明し、「JGAも率先して日本のゴルフ改革に取り組み始めた。今後、ゴルフ界一本化の要になっていくつもりだ」と強調した。
大宅映子氏は「ファンの目からしても、今のオリンピックのゴルフ競技システムはおかしい。国が対抗するチーム戦にすべきだ。ゴルフではオリンピックが目標ではなく、他に目標(メジャー大会等)があることに問題があるのでは」と指摘した。
早稲田大学の間野教授は、他のスポーツを例に引きながら「オリンピックを契機としてレガシーを残し、ゴルフを発展させるチャンスととらえるべき」などの助言もあった。
金愛淑氏は韓国と日本のゴルフ教育について、取り組む環境や姿勢の差について興味有る指摘があり、「韓国の選手はどれくらい練習しているか知っていますか。『死ぬほど』やっています」と、強さの秘密について詳細を語った。
この他、パネラーそれぞれが専門分野から、いろんな発言があり、これまで聞いたことが無かったような経験談や経緯話も参考になった。
続いて行われた第二部の、聴衆参加の討議・質疑応答では、これまで疑問に感じていたことや、提案などについて熱い発言があり、リオ五輪ゴルフコース取材経験のあるメディアから、現状や問題点が披露されるなど、思いがけない情報も聞くことができた。
パネラー、聴衆が一体となった3時間の熱気有るミーティングの後は、懇親会も催され、各所でも情報交換をする光景が散見された。