「シニアでは90%は勝てる!」豪語するマークセン(タイ=50)。変わる勢力分布図―国内シニア戦線異状あり!!

シニアツアー参戦3試合目の″ルーキー〝プラヤド・マークセン(タイ=50)があっさりとシニア初優勝を挙げました。マルハンカップ太平洋クラブシニア(兵庫・太平洋クラブ六甲)。優勝賞金1000万円をゲットして早くも獲得賞金1634万9000円とし、(8月8日現在)1位を走る崎山武志(53)を追う2位につけました。レギュラーツアーでも昨年7月、ダンロップ・スリクソン福島オープンで松山英樹らを抑えて優勝している実力者(通算5勝)。まだしばらくはレギュラー・シニア両ツアーを股にかけて戦うマークセン「シニアでは90%の確率で勝てる」と豪語する50歳です。アジア各国を荒しまくり、遂に日本シニアにも登場してきた男は、今季国内のシニア残り11試合にも「全部出場する」と宣言。室田淳、中嶋常幸、高橋勝成、尾崎直道、渡辺司・・ら国内シニアを席巻してきたシニア勢力分布図も一変しそうな時代になってきました。

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164㌢の小柄ながら頑丈な体躯から好打を放つマークセン。シニアツアーの勢力分布を塗り替えそうな勢い!(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

164㌢の小柄ながら頑丈な体躯から好打を放つマークセン。シニアツアーの勢力分布を塗り替えそうな勢い!(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

ゴルフの巧さでは折り紙つきのタイからの刺客!マークセンは、16歳からタイのゴルフ場でキャディをしながらゴルフを学びました。25歳でプロ転向。アジアンツアーに顔を出しながら、日本ツアーには2001年から本格参戦。08年の三菱ダイヤモンドカップで初優勝すると次戦のミズノオープンよみうりクラシックに連勝。「マークセン」の名を轟かせました。この年にはタイ人選手として初めてマスターズに招待されました。163㌢の小柄な体躯。コンパクトなスイングから好打を放つ職人芸でレギュラーツアーでも常に上位にくる選手でした。難をいえば最終日のプレッシャーにやや弱く、優勝争いをしながらも″逸勝〝することがやや目立ちましたが、08年の好調時にはダンロップフェニックスのビッグゲームも制する活躍でした。

日本だけでなく、アジアンツアー、タイのPGAツアーなど4つのツアーをかけもちして渡り歩き、49歳になった15年6月には、福島OPに勝つ前にアジアンツアーのクイーンズカップで優勝。そのあとの福島OPでは最終日に「63」をマークして3位からの逆転劇でした。15年はアジア各地で世界ランク対象競技34試合に出場する精力的なプレーをみせ、今年でシニア入りしましたが、まだまだ衰えは感じさせない″若さ〝です。

今季シニアツアーは17試合と急増。ギャラリーの数も増えて活況を呈している。(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

今季シニアツアーは17試合と急増。ギャラリーの数も増えて活況を呈している。(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

シニア入りした今季は、デビュー戦のKYORAKUシニア(三重・涼仙)で2位。スターツシニアでは、最終日首位発進しながら崎山武志に逆転Vを許し、6位に終わりました。そして3試合目のマルハンカップでようやく実力を発揮。最終日、前半で4バーディー。後半10番、529ヤードのパー5では残り238ヤードの第2打を5Wで2オン。6㍍のイーグルパットをねじ込んでみせました。1イーグル、7バーディー(ノーボギー)で「63」をたたき出し、4打差4位からの大逆転をやってのけました。

★シニアデビュー3戦目で豪快な初勝利を挙げたマークセンのコメント。

「最終日は4打差があったが、1打1打ゲームをこなすことだけを考えていた。このコースは初めてで練習ラウンドも9ホールだけしか回ってなかったので、10番からは初めてでした。先輩のルアンキットからコースのことは聞いていて、頭の中では理解していました。シニアツアーはレギュラーに比べ、距離が短く、マネジメントもやさしい。シニアならたぶん90%くらいの確率で勝てると思う。私は1年間で4つのツアーを掛け持ちしていてオープンウイークはありません。ゴルフが一番大切。家族は2番です。今年はアメリカのシニアツアー(チャンピオンズ・ツアー)のファイナルQT(予選会)にトライしたい。日本で賞金ランク1位になって秋のファイナルに出たい。1枠しかないので崎山(武志)選手と一緒に競い合いたいと思う」

 

マークセンとともに今季のシニアルーキー鈴木亨(50)。レギュラーツアー13勝の実績でこれから暴れそう。(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

マークセンとともに今季のシニアルーキー鈴木亨(50)。レギュラーツアー13勝の実績でこれから暴れそう。(マルハンカップシニア=兵庫・太平洋クラブ六甲コース)

酒は飲まず、たばこも吸わない。パーティー類の出席は極力控え、夜は8時就寝。起床は朝4時。「趣味は温泉」(マークセン)と、聖人君子のような生活を信条としているとか。今年1月、50歳になって国内シニアにはとてつもない″ルーキー〝の登場になりました。国内のシニア界は、従来の実力者もほとんどが60歳代に入り、世代交代の大きな波が押し寄せているときです。″王者〝の室田淳も61歳。しかも今年は、左手首痛に悩まされてひところの強さはカゲをひそめています。中嶋常幸61歳、尾崎直道60歳、高橋勝成65歳(マルハン最終日「65」で初エージシュート達成)。倉本昌弘60歳、渡辺司59歳、飯合肇62歳・・今季の国内シニア(6試合終了)の優勝者を見ても53歳の崎山武志2勝を筆頭に秋葉真一、真板潔・・ともうビッグネームの名前は見当たりません。鈴木亨(50)がマークセンとともに今季シニアの新顔ですが、マルハンカップでは初日トップに立ちながら、マークセンの強烈な追い上げで4位どまりでした。

マークセンを筆頭にすっかり入れ替わってきたシニアの勢力分布図。初優勝で自信をつけたマークセンは、現在タイに帰国中。自国で2試合をこなしたあとは、また国内次戦のファンケル・クラシック(8月19日~21日)へ向けて再来日します。シニア戦線に
異状あり!です。

【この記事は2016-08-08ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】