無敵のマークセン(タイ)、シニア8戦4勝。来季も日本シニア残留決定に戦々恐々!?。米シニアQTは断念

プラヤド・マークセン(タイ)強し!今季からシニア入りした50歳ルーキーは、次から次へと勝つわ勝つわ。9日に終わった日本プロシニア・住友商事サミット杯(茨城・サミットGC)でも通算20アンダーで2位を8打差でぶっちぎり完全優勝。これで今季シニアツアー3試合連続優勝で4勝目(8戦)。日本シニアオープンに続いてメジャーも2連勝。1000万円の優勝賞金を獲得し、早くも計5650万3000円を稼いで賞金レースもトップを突っ走っています。来季は米シニアツアー(チャンピオンズツアー)に挑戦する予定でしたが、3年前に亡くなった前妻の葬儀と日程が重なり、最終予選会(QT)に出られないことが決まり「来年も日本のシニアでプレーする」とコワイ宣言。日本のシニア界を震え上がらせています。

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無敵マークセン、「日本プロシニア」優勝でシニア3試合連続Vの優勝カップを掲げる。

無敵マークセン、「日本プロシニア」優勝でシニア3試合連続Vの優勝カップを掲げる。

まさに「マークセン旋風」です。タイからの刺客、16歳からタイのゴルフ場でキャディーをして「お客さんのプレーを見て」ゴルフを覚え、25歳でプロ転向。ゆったりとしたコンパクトなスイングで、いまでもハンパじゃない飛距離をみせます。一緒に回った日本のシニアは、誰もがその飛距離に舌をまきますが、「彼はドライバーが好きなんですよ。ドライバーの扱いがうまい。だから飛ばしても曲げないんだね」と評したのは、池内信治プロ。高見和宏プロは「異次元の飛び」と表現しました。それでいてアイアンを持っての小技やパターも一級品だからスコアが伸びるのもうなずけます。
163㌢の小柄な体躯で豆タンクのよう。いったいこんなゴルフを誰に教わったのかー?。聞けば「誰から教わったというわけじゃないよ。先生もいません。飛ばす秘訣ーといわれれも特にないね。自分でもうまく表現できないよ」とマークセン。全くの自然児でここまで育ってきたゴルファーなのです。母国タイのPGAツアーはもちろん、アジアンツアーや欧州ツアー、そして2001年からは日本ツアーに本格的に乗り込んできて荒らしまわっている″渡り鳥〝のたくましさを秘めています。日本ツアーでは三菱ダイヤモンドカップ、ミズノオープン、ダンロップフェニックス(いずれも08年)などビッグゲームを制し、この年タイ人としては初めてマスターズにも出場しています。49歳になった15年6月には、アジアンツアー「クイーンズカップ」、続いて7月に日本ツアーのダンロップ・スリクソン福島OPにも勝っているしたたか者。15年はアジア各地で世界ランク対象競技、34試合に精力的にプレーしています。50歳になった今年からシニア入りですが、、まだまだ衰えを知らぬレギュラー・シニアかけもちプレーヤーです。

シニア入り3戦目のマルハンカップ太平洋クラブシニアで初優勝したとき「シニアなら90%の確率で勝てると思う。シニアはレギュラーに比べて距離が短く、グリーンのスピードも緩くてやさしい。マネージメントもしやすい」と豪語して驚かせましたが、それがビッグマウスでない実績をあげているのです。これまで8戦して今回で4勝目。1試合だけ13位があるだけで、あとはすべてトップテン内。最近の3連勝を見ても「コマツ」は通算17アンダーの大会最少ストローク記録で完全優勝。「日本シニアOP」は通算12アンダーで2位3打差をつける楽勝でした。今回の「日本プロシニア」では初日からすべて60台で首位を譲らない完全優勝。2位には8打差をつける圧勝で、つけ入るスキをみせませんでした。

最終日、この日も3つ伸ばし20アンダーに乗せたあと、14番で珍しく左にOBを出しましたが「2位と差があったので深く考えず、ボギーでもダブルボギーでもいいと思ってプレーした」と落ちつきはらったもの。″OBバーディー”のボギーで抑えました。次の15番では4㍍のバーディーパットを沈めてすぐ取り返したあたりはもう余裕。まるで周囲を見下ろして戦っているような″強さ”です。

★シニア3連勝のマークセンのコメント。

「日本プロシニア」でも一人4日間60台で笑顔も出る完全優勝。予定していた来季の米シニア挑戦は断念。再び日本シニアで戦うことが決まり、周囲は戦々恐々?!(いずれも日本プロシニア住友商事サミット杯=茨城・サミットGC)

「日本プロシニア」でも一人4日間60台で笑顔も出る完全優勝。予定していた来季の米シニア挑戦は断念。再び日本シニアで戦うことが決まり、周囲は戦々恐々?!(いずれも日本プロシニア住友商事サミット杯=茨城・サミットGC)

「3日目を終わって6打差をつけていたので最終日は気持ちよくプレーできた。心配することはなにもなかった。3週連続優勝ができてとても嬉しい(1992年に3週連続Vをした天野勝とタイ記録)。日本は居心地もいいし心配事も少ない。ヨーロッパなどより私の性に合ってる。(日本のライバルは?)シニアのみなさんとは仲良くさせてもらってるので、ライバルというような人はいないです。(歴代で年間7勝という記録があるが)出場試合が問題ですが、7回は厳しいと思います。でも賞金王は狙ってます。将来的にアメリカのシニアでプレーするためにです。(レギュラーツアーの方は?)もちろんまだ勝ちたいです。でも若い人がたくさんいるからもう難しいかもしれないですね。シニアでは年齢がまだ若いし、体の調子もいいので頑張ってやれてます」

自信満々に語り、今秋には米シニアの最終予選会(QT=11月下旬)を受けるのを大きな目標にしてきたマークセンですが、「それが行けなくなった」と初めて明かしました。「プライベートな事情ですが、3年前に亡くなった妻の火葬の日と重なったのです」(マークセン)と、渡米を断念する意向を示しました。この決定によって「来年も日本のシニアでプレーしたい」と、日本選手には戦々恐々の発言がありました。

今週はレギュラーツアーの日本オープン(埼玉・狭山GC)があり、マークセンもこれに挑戦します。さらにブリヂストンOP、マイナビABCとレギュラー出場が続きます。11月にはシニア4試合が残っているので、賞金王を確実にするためにもまたシニアに顏を出すでしょう。″50歳の鬼〝はますます元気。前妻との子供2人に後妻との子供も2人います。「賞金は4人の子供のために使う」というこのタイからの刺客。シニアツアーという第二のゴルフ人生で華麗に蘇った男です。

【この記事は2016-10-11  ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】