全米女子オープンゴルフ日本予選で挑戦権を得た4人のやまとなでしこ! 今年こそ″何か〝を起こせるか?!

4人のやまとなでしこが決まりました。女子ゴルフの世界最高峰、全米女子オープンゴルフ選手権の日本地区最終予選会(36ホール)が先ごろ茨城・大利根CCで行われ、原江里菜(29)、佐藤絵美(24)、松森彩夏(21)、17歳のアマチュア、澤田知佳(ルネサンス大阪高3年)の4選手が出場権を獲得しました。(写真:全米女子OP日本地区最終予選通過者の4人。(提供:すべて日本ゴルフ協会))プロ10年目で念願のメジャーへの出場がかなった原。その原と並んでトップ通過した佐藤は、東北福祉大で松山英樹と同級生。21歳の若い松森は、昨年に続き2年連続2度目の出場。17歳にして全米切符を手にした澤田は、憧れのポーラ・クリーマー(米)と同じ舞台に立つ夢をかなえました。昨年は38歳の大山志保が5位に入る健闘でしたが、果たして今年のシンデレラは生まれますか?!
(第71回全米女子オープンゴルフ=7月7日から4日間、カリフォルニア州のコーデバルゴルフクラブで開催)

☆     ★      ☆

日本地区の最終予選会は5月30日(月)、リゾートトラストレディス(徳島・グランディ鳴門GC36)が終わった翌日、茨城・大利根CC東・西コースで36ホール勝負という強行軍で行われました。リゾートトラストをスキップして予選会にかけた原江里菜は、前夜から降り続いた雨の中でもしっかりしたショット、パットを続けました。9番で5㍍を沈めると11、12番でも連続バーディー。17番でもバーディーを奪って14番のボギーを取り返しました。30分の休憩のあとは西コースでのプレー。ここでは4バーディー、3ボギーとやや出入りの激しいゴルフでしたが、着実に1つ伸ばして通算4アンダーでホールアウト。佐藤と並んでトップ通過。初めての全米切符を手にしました。
「このコースは難しいので、自分にもチャンスがあるかなと思っていました。これまで全英女子オープンには出ましたが、全米には縁がなかったのでうれしい。女子ではもっとも大きな試合。一度は経験してみたい試合だったので自分の力を試してみたい。すごく楽しみ」(原江里菜)

トップ通過したもう一人の佐藤絵美はプロ3年目。昨季の賞金ランクは115位のシード外選手ですが、初めての全米メジャーのチケットをゲットする大殊勲。栃木・日光の出身で東北福祉大時代は12年の日本女子学生で優勝。松山英樹とはと同期。女子の主将を務めました。雨の中でも着実なプレーを続けて通算4アンダーは立派。今季から大学の先輩である佐伯三貴と練習ラウンドをこなし、アドバイスを受けてきたのが成果をみせてきたようです。前日まで戦ったリゾートトラストで自己最高位の23位をマーク。好調を持続しての出場権で「米国でどれくらい通用するのか試してみたい。距離も長いのでしょうね。アメリカで試合をしたかったのでワクワクしています」と、訪れたビッグチャンスに目を輝かせています。

昨年、有馬ロイヤルGCで開催された最終予選会に続いて、2年連続で本戦出場権をつかみ取った松森彩夏。その実力はダテではないはずです。シングル級の祖父の手ほどきで4歳から始めたゴルフ。同時に水泳でも体を鍛えました。東京・世田谷生まれながら神戸に住んでいた小学生のころから「江連忠ゴルフアカデミー」に通い、当時上田桃子や諸見里しのぶと一緒に練習できた体験は貴重でした。日大高(神奈川)時代は、関東ジュニア2位(10年)、日本女子アマベスト16(12年)など。13年のプロテストで一発合格。14年のファイナルQTで11位に入り、15年はツアーフル参戦。フジサンケイ、マンシングウェア2位タイ、リゾートトラスト、ニチレイの7位タイなど、トップテンに5回入る活躍は、もうトップクラスの選手に成長しました。

緊張の36ホールを4バーディー、4ボギーのパープレー。通算イーブンパーでトップには4打差ながら3位入賞。2年連続の本戦出場資格獲得は、松森のゴルフのしっかり度の証明でもあるでしょう。昨年は本戦で予選落ちでしたが、その経験を生かして今年こそは若い力の本領を発揮できるかどかが見ものです。

「去年は、全米の雰囲気に圧倒されただけで帰ってきた。今年は2度目なので落ち着いてプレできると思う。予選通過してトップテンを狙える位置で戦えれば最高」と松森も自信らしきものも漂わせています。

4人目、アマチュアの澤田知佳は、36ホールで通算1オーバーで並んだ堀琴音(20)、アマの松原由美(17=大阪学院大高3年)とのプレーオフを制して本戦出場が決定。アマの全米女子オープン日本予選突破は、一昨年の橋本千里、昨年の山口すず夏に続いて3年連続3人目です。
「すっごくうれしい。大好きなポーラ・クリーマーに会いたい。すごくかわいいし、カッコいい。ああいう選手になりたいです」と、
屈託のないコメント。昨年10月には米フロリダ州のIMGアカデミーで2週間の合宿も体験。「凄いトレーニングで体力もついた。アプローチも上手くなりました」という。ティーチングプロの父親の指導も受けてメキメキ腕を上げている知佳の未来は、洋々たるものがあります。札幌生まれですが、大阪在住で165㌢、54㌔。全米メジャーの経験を積んで、大きく飛躍するかもしれません。

今年の全米女子オープンには、すでに野村敏京、宮里美香、横峯さくら、大山志保が出場権を確保していて、日本勢はいまのところ8人。昨年は13人の日本選手が出場(8人が予選通過)して層の厚いところをみせ、38歳のベテラン大山志保が5位に入る活躍がありました。全米の舞台は「長い距離、深いラフ、そして速いグリーン」に大ギャラリーが集まるのが特徴。毎年異なるコースで開催されるので、それを征服するには高度な技術、優れたマネージメント、そして強い体力が求められます。今年の賞金総額は450万㌦(約5億円)。女子プロゴルフメジャートーナメントの中で最高額が用意されます。日本女子オープンが1億4000万円ですから、約4倍!さすが世界のメジャー、というところです。

これまで日本人の優勝者はいませんが、韓国勢の強さは格別で、98年に朴セリが勝ったのを筆頭に、昨年覇者のチョン・インジ(田 仁智)まで8回=朴仁妃(パク・インビ)が2回で7人=の優勝者が出ています。優勝者にはトロフィーと金メダルも贈られるこのビッグトーナメント。今年こそ日本パワーの炸裂を期待したいものですが・・。

 

【この記事は2016-06-6にゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】