ゴルフ用具の進化と協会規制に思う ~河北 俊正 ~

 今年、ゴルフルールに用具の規則が相次いで追加された。この数年ゴルフ界を騒がせたドライバーの反発係数規制の他、ドライバーヘッドの体積、クラブの全長、ゴルフボール検査基準改定などなど……。理由は協会サイド(R&A、USGA)の、飛距離増大によるゴルフ競技衰退への危惧からだそうだ。確かに、このところの超上級プレーヤーのアスリート化による飛距離増大のすさまじさを見ているとその危惧も当然に思えるし、歴史的にも、より高性能な用具を目指すメーカーと、競技を守ろうとする協会サイドの間ではこれまでにも様々な論争が繰り返されてきている。

しかしながら、ゴルフが今のように大衆化してきた現在、このような用具規制の一律な強化は、果たしてゴルフ産業全体の振興には影響ないのだろうか。

昔と違い、今やゴルファーの大多数は、ゴルフを楽しむことや健康増進を目的としたエンジョイゴルファーで、これらの人々がゴルフ産業を支えていると言っても過言ではないだろう。そしてこの人達の最大の楽しみは、ゴルフボールを遠くへ飛ばすことであることも多くの調査で明らかになっている。

もし用具の性能規制が競技を守ることのために必要なのだったら、この規制を何故将来も特定の競技(プロツアーやオープン競技、ナショナル競技等)だけのローカルルールとして適用できないかが疑問だ。

最近、日米の大手メーカーから、シニア、レディス専用とうたって、スイングスピードが遅いゴルファーでも飛距離を楽しめる用具が相次いで発売された。このような活動こそ、ゴルフの大衆化を促進する本当のゴルフ振興には必要ではないのかと感じている。