優秀賞 「ゴルフを本当のスポーツに~」 ~松浦 需一~(日本ゴルフ100年祭記念論文)

いかなるスポーツにもルールがあり、加えてマナー、つまり礼儀、行儀、作法等々があります。この二つが欠けたらどんな競技もただの〝ケンカ〟になりかねませんし、そのプレーは品位のない見苦しいものとなってしまいます。
今日のゴルフは大衆のスポーツとして定着したといえるでしょう。しかし、本テーマである「本当のスポーツ」として認知されているかというと、それは疑問です。その大きな要因として、プレーヤーたち(日本人)のマナーに対する問題意識の低さが挙げられます。
その筆頭が喫煙問題です。数あるスポーツの中で、プレー中に選手の喫煙シーンが見られるのはゴルフぐらいでしょう。各方面より批判の声が挙がっているのは周知の事実ですが、実際、プロのトーナメントで選手が喫煙している姿を見ると、「これがスポーツだろうか?」と首を傾げたくなります。ティグラウンドでタバコをふかしている姿は格好悪いだけでなく、見守る大勢のギャラリーを不快にさせます。紳士のスポーツと称されるゴルフは、特に自らを厳しく律しなければ成り立たないスポーツです。にもかかわらず、欲求に我慢できずタバコを口にするプレーヤーは、自らに厳しくないと公言しているようなものではないでしょうか。
気持ちをリラックスさせるため……、ティグラウンドで順番を待っている間だけだから……。云々、喫煙するプレーヤーにもそれぞれ言い訳はあるでしょう。しかし、喫煙の持つ意味、また及ぼす影響、イメージ等々を考えれば、ラウンド中の喫煙は慎むべきだという結論に達して当然ではないでしょうか。
提案として、プロのトーナメントにおいては喫煙は禁止であることを明文化するべきだと思います。トーナメント主催者もスポンサーも禁煙ゴルフを即刻実現してほしいと思います。1番ホールをスタートしたら18番をホールアウトするまで禁煙だということを、まずプロゴルファーが一般に示していただきたい。
ゴルフの歴史を振り返ったとき、紳士たちの優雅な一つの社交の場として発展してきた経緯があります。昔は葉巻をくわえ、スコッチを飲みながらラウンドしていたことでしょう。しかし、いつまでも過去の風潮を残していては進歩はありません。何事も時代と共に進化するものです。ゴルフも優雅な紳士の遊びからスポーツへと進化してきました。しかし、他のスポーツと比較したとき、まだまだ遅れていると言わざるを得ません。ここから飛躍するためには、運動力学的な面はもちろん、マナーも含めた〝科学的ゴルフ〟を確立することが重要だと思います。スポーツの醍醐味、魅力は真剣勝負、あるいは体力・精神力の限界に挑む姿にあるのですから。