日本ゴルフ界の未成熟部分と今後の対応策 こうすれば日本人男子選手もメジャーに勝てる!~小林至編~

「日本の男子選手は何故メジャーに勝てないのか!?」。これまであちらこちらで論議されてきたことであるが、その多くはプロゴルファー批判の色が濃いものであった。もちろん、当事者である選手の努力不足、研究不足は指摘されて当然ではあるが、いくら批判が繰り返されても、1900年代に日本人男子選手のメジャーチャンピオンは生まれなかった。おりしも、このところ若手選手を中心にアメリカツアーに挑戦したり、全英、全米オープンにトライするなど海外を目指すプレーヤーが増えている。そこでJGJA流に「何故日本の男子選手はメジャーに勝てないのか」││メジャーに勝つためにはどうすれば良いのかという建設的な意見をそれぞれの分野の論客にご執筆願った。

欧米崇拝の呪縛を解き放つことが何より大切である 小林 至

欧米のゴルフ界、特にメジャーを司っている諸団体は、他人種に対する排他性が強いWASPの集団である。日本のトップ、仮にも世界ランク上位20に入る尾崎将司を、十羽ひとかけらの如く、予選会通過組と共に朝一ティータイムに押しやった挙げ句、「他選手からの疑惑の声」を理由にボールの提出を求めるという侮辱行為を平気で行う、全米ゴルフ協会などは、まさに其の典型。そんな場所で、日本人ゴルファーが感じる居心地の悪さは、並大抵のものではないはずだ。神経戦の要素がことさら強い競技、ゴルフで、これが不利にならぬはずはない。
この″あちらがわ″の問題に加え、″こちらがわ″の、何かと欧米、特に米国を格上視する風潮が、またいけない。「体が違う」「環境が違う」「米国の壁は厚かった」などと、日本人でありながら、まるで米国人になったかのように、米国コンプレックスを煽り、日本選手を抜き下ろす、進歩的知識人を気取ったマスコミ。ジャンボ、トミー、マッシーといった西洋名を、欧米の大会で、自ら嬉々として名乗る選手。選手、関係者共に闘う前から、降伏しているのが、現状だ。
若き日のセヴェバレステロスのように、米国人に対する嫌悪を露に闘ってもいい、1997年マスターズ時のタイガー・ウッズのように人種差別に対する怒りをエネルギーにしてもいい。人種差別って何? というくらい自然体の新人類でもいい。日本ゴルフ界に蔓延る欧米崇拝の呪縛から解き放つ人間の出現が、待たれる。

〈プロフィール〉
小林 至(こばやし・いたる)
神奈川県逗子市出身。1992年東京大学経済学部卒業後、千葉ロッテマリーンズにピッチャーとして入団。93年に退団し、翌年ニューヨークのコロンビア大学大学院に留学。在学中にゴルフに出会い2年間でシングル入り。96年卒業、MBA(経営管理修士)取得。同年10月に「ザ・ゴルフチャンネル」に入社し、多様な活躍をしている。